満足度★★★
お金と家族
貧富の差が拡大し、経済的破綻が目前となった近未来の日本を舞台とした作品で、現実味がありながらも、演劇ならではの趣向も盛り込まれたバランスの良い作品でした。
証券会社に勤める母と、店を失いラーメン屋台を営む父とその息子を中心に、証券会社とスラム街という対照的な世界が並行して描かれていて、お金や経済について考えさせる内容でした。
小学校の給食の牛乳瓶の蓋を例えにして経済のシステムを説明したシーンが変にお勉強的なモードにならなく自然な感じだったのが良かったです。
経済についても家族のドラマについても、もう少し掘り下げて描いて欲しかったです。
狂言回しとして設定されたキャラクターやラーメン屋台の登場シーンといったケレンを効かせた演出が所々にあり、経済という堅い内容になりそうな物語に程良くエンターテインメント性が盛り込まれていて楽しめました。物語の中心となる3人以外は、両極端な2つの世界の対照的な役を1人2役で演じていたのが印象的でした。
BGMとラジオニュースを模した録音の声のバランスが悪くて聞き取り難い時があったのが勿体なく思いました。