満足度★★★
日本人の姿
戦中から戦後にかけての物語ですが、戦争の悲惨さを訴えるのではなく、人の欲望や無責任さが描かれていて、現代にも通じる内容でした。
とある東北の村を舞台に1945年と1960年が並行して描かれ、戦場に出ている息子が戦死したら結婚しようと約束している男女を中心に展開し、ある同様の出来事で2つの時代がクロスする物語でした。
前半は展開が緩慢で退屈感を少々覚えましたが、休憩を挟んだ後の後半は中心となる男女それぞれが息子との関係で大きなジレンマを抱えるシーンが続いて緊迫感があり引き込まれました。
緊張感の高まる場面でも時折笑えるやりとりが行われ、シニカルな雰囲気があったのが良かったです。
舞台全面に打たれる映像(プロジェクションマッピングも行っていました)がほとんど色を使わず、控え目な表現だったのが良かったです。
アンサンブルによる少々長めの身体表現のシークエンスが数回ありましたが、雪の中を進むシーン以外は中途半端に感じられました。
電子音と弦楽器による曲自体は良かったのですが、音楽を多用し過ぎているように思いました。音楽で盛り上げなくても演技だけで十分伝わると思いました。カーテンコール時の曲には違和感を覚えました。