サムライ・シェークスピア "R&J” 公演情報 シアタージャパンプロダクションズ「サムライ・シェークスピア "R&J”」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    もっと深い所で構造構築をしないと
    IDA K.Lang TheaterでのNY Performances東京プレビュー公演と銘打たれた今作。作品コンセプトとしては、Theatrical performanceということなのだろうが、シェイクスピアを生誕450年で色々な催しがあるであろう英国ではなくアメリカで上演するというのも、ちと腑に落ちないものがある。

    ネタバレBOX

    が、イギリスでシェイクスピア俳優ということになれば、それだけで大したステータスだから、母国語を英語とする訳でも無い日本人が、英国で上演するには、余程の実績が無ければ難しいだろうというのは頷ける。だからといって、業を磨かなくて良いということには無論ならない。
    大体、performの意味を軽く取り過ぎているのではないか? 接頭辞、perには、完全にという意味がある。performを演ずると訳す場合でも、完全に成し遂げるからこそ、演じることで過不足なく伝わるのであり、それ以外ではない。リーフレットによれば、法廷心理劇の手法を用いているということだが、それならば、それが成立する為の構造をしっかり作らなければならない。「ロミオとジュリエット」の背景にあるものを深く掘り下げ、同時代の日本の武士の価値観を深く掘り下げた上で対比し、ロレンスの位置を弁証法的に下降させるということにすれば、リーフレットで述べられていることの半分以上は実現できたであろう。然し、構造的にこの基礎部分ができていない。結果として、役者達の間が、どうにも締まりのないものになってしまって、其々のポジショニングも曖昧化し、ドラマツルギーとして結実していない。演出にも難がある。オープニングのダンスシーンでロミオ役が、横笛を吹いた後、サッシュベルトの後に横笛を差すのに手間取ったり、その後、全員、扇を用いて踊った後、矢張りサッシュベルトに差すのに手間取ってタイミングが狂う。こんな凡ミスは、これらを収納する容器を足に取り付けておけば簡単に片付く問題だろう。
    また、剣は、左腕で振るものである。殺陣の最中、右手だけで振るわなければならない場合は兎も角、構えている時点で右腕で刀を支えているのが一目瞭然では話にならない。演出家は、キチンと基本を押さえるべきである。
    以上の点を意識して実践できれば、格段に良くなるだろう。

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    2014/11/09 00:34

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