一遍 公演情報 風雲かぼちゃの馬車「一遍」の観てきた!クチコミとコメント

  • かなり本格的な中世物のミュージカルで、
    一遍という、あまり歴史ドラマなどで取り上げられていない人物を描いていて、興味深かったです。ストーリーも解り易く、ドラマチック。力のある役者さんが全体を引っぱっている感じ。キャラがはっきりしていて、そこに現代人の感性も重なっていて、共感を呼ぶ。ただ突っ込み所も多く、ミュージカルということでまあいいか、とは無視できないところも目立った。大事にしている演目らしいので、もっと時代劇の型の良さなども取り入れた物にしていって欲しい。

    ネタバレBOX

    突っ込み所ですが・・・・・。開始早々の松寿丸の母の衣装など、まるっきり現代のお太鼓姿で、「え、これいつの時代の話だっけ???」とびっくり。父や叔父の袴姿も現代版で、しかも袴の紐の結び方などめちゃくちゃ。あれは臍の下に締めるのが普通。背のスラリとした役者さんなので、よけい下半身が間延びして型が悪い。時代劇としてはかなり残念。でもこれ、中世ですよね?まだ女性は小袖に細帯、男性は簡単な狩衣や水干姿が普通。ミュージカルでも、時代感を出すために少しは工夫してほしかったです。
    それより気になったのは、念仏房が一遍ともども出家した後も一遍のことを「お屋形様」と呼んでいること。主従関係を明確にしたかったのだと思いますが、そもそも一遍はお屋形様ではないし、出家して仏弟子となった後のこの呼び方には違和感を感じました。一遍が出家しても念仏房に威張り散らすようなキャラならいいのです。でも、彼は極めて理知的で、理論的。そして人間というものを根本から見つめようとしている。そんな彼のキャラクターからするとこれはおかしい。俗世の呼び方をそのまま残すことで、二人が幼稚に見えて、これが後に歴史に残る人の成長過程の姿とはとても思えない。また踊り念仏を遊行するようになって彼は金襴の袈裟を纏っていますが、これも有り得ない。金襴などは唐渡りのもので、権威の象徴。一遍が身に着けるはずがない。こういう呼び方や衣装など、一遍と言う強烈なキャラが巧く統一されていない。民衆の中にあって、ただ念仏と踊りで生涯を過ごした彼には墨染の破れ衣こそふさわしい。それでこそ兵部堅者の権威的思考との対比が明確になるし、視覚的にも二人の考え方の違いがはっきりと見て取れると思います。
    私はこういうタイプのミュージカルで、衣装にまで小うるさい時代考証が必要だとは思いません。とはいえ、ある程度の時代感は必要。また、キャラクターの破綻を招きかねない、こうした細部については細心であるべきだと思います。

    0

    2014/10/14 22:03

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大