死ぬまでに一度でいいから、ロマンス・オン・ザ・ビーチ 公演情報 20歳の国「死ぬまでに一度でいいから、ロマンス・オン・ザ・ビーチ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    大きな舞台をしたたかに使いこむ
    劇場スタッフの協力や飾りつけももあって、入場時からオンザビーチ気分。

    広い舞台にへたれることなく展開していく物語に見入ってしまいました。

    ネタバレBOX

    舞台は海の雰囲気に満ち、時の夏の華やかさがあり、あるいはペーソスが編まれていて。
    その中に童貞の兄と世渡り上手な弟をコアにした物語が紡がれていきます。

    兄弟のことにしても、周りを取り巻くエピソードにしても、ちょっと下世話だったり、開放的だったり、観る側にじわっとしみこむようなペーソスがあったりと、いろんな色を持っていて、それらがきっと海の匂いに満ちた街にしなやかに置かれていく。
    生きているものの日々にすでにこの世にはないロールの視点や想いも差し込まれて、役者が丁寧に作り上げるその雰囲気がそこに包容力を感じさせすこしもあざとくさせない。

    一見シンプルな舞台美術にも、役者の出捌けや舞台のボリューム感が単調にならないような工夫がされていて、そこに役者一人ずつがきちんとロールの色を編み上げていく。それは時に観る側の視点を惹きつけ、あるいは献身的に舞台のトーンを醸すための糸となっていて、その広さがきちんと表現をくぐもらせず夏の解放感に編み曲げる武器になっている。
    時にすっとさりげなく刹那の印象を立ち上げ、群舞的な部分では空間の内に留まらずそこから溢れるものを感じさせる北尾振付に冴えを感じる。

    2時間越えの長めの尺で、しかも恣意的にラフな部分が差し入れられた語り口でしたが、むしろそのことで生まれる観る側を飽きさせない舞台のボリューム感や吸引力があって。劇場制作の方のアロハシャツ姿も功を奏し、入口から出口まで、描かれた季節と其々の想いに淡々と深く浸されてしまいました。

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    2014/10/12 06:57

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