グループ・アントルス『[àut]』 公演情報 世田谷パブリックシアター「グループ・アントルス『[àut]』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    行けないかな、と思ってたけど・・
    偶然家に来た兄貴の車で運んでもらって・・当日券で。劇場が家から近かったもので(苦笑

    自分は逆にテクニックよりは物語の方が先に頭に浮かんできました。


    ネタバレBOX

    足元にある不気味な黒い塊。

    なかにラジコンが内蔵されているのか、時折「ウィーン」という音を立てて男女の周りを巡ったり、男性の足にぶつかったり、後ろに回り込んだり。

    音楽が時折変わる。

    懐かしい音楽だったり、楽しい時もあるが、ふいに終わると不安に包まれたような表情で見つめ合う男女。

    足が時折地面に吸い付くようで、ずっと重くなってしまったのか、自分の意のままに操れない。

    成程。

    あの黒い塊は、病気、あるいは怪我。あるいは不安そのもの。

    慎重に間をとっていたつもりではいても、不意に運命とともに接近するその影をよけることは出来ず、二人の間を引き裂いてしまう。

    やがて片方を闇の中に引きずり込んだまま物語は終わるのか?

    観客席が明るくなってこれで終演かと思われた後抱き合う男女。

    「死がふたりを分かつまで」・・?

    いや、これは死んだ後の世界と見るのが正しいのではないのかなと自分は思った。

    ここでは闇の意味は反転している。

    それまでは、人生と言う闇。

    やがて安らぎの中死という闇の中で睦み合う。

    テクニックとしても高度、というかシンプル。最小限。

    物語としても60分の中にすべてが凝縮されている。

    まさに昔のサイレント映画のよう。

    パースペクティブを強調した黒一色のシンプルなセットは昔の表現主義を意識しつつ完全に塗りつぶした贅沢な視覚だったのではないのかな。

    帰りに外のポスターを見て思ったのは、
    百年前(あるいは200年前)の場末の人生を美しい蒼い華に昇華することを目指した小品だったのではないのかということ。

    美しい。チャップリンか何かのように。

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    2014/09/21 13:22

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