我妻恵美子  「肉のうた」 公演情報 大駱駝艦「我妻恵美子 「肉のうた」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    拍手鳴り止まず
    客電が点いて、「終わりです」とならなかったら、いつまでも拍手が続いたのではないか、と思った。

    舞踏が好き、大駱駝艦が好きで、我妻さんの踊りも好き。
    なので、期待して見に行った。

    ネタバレBOX

    オープニング、真っ暗の中で幕が一気に引き込まれ、舞台が開いたのを肌で感じた。
    舞台に照明が当たり、舞台の上を見て、鳥肌が立った。

    ゴツゴツした岩場のようなものが舞台の上にそそり立ち、女性たちがラップにくるまれている。まるでスーパーに売っているスライスされた肉がトレイにあるように、だ。
    そして、その両側には網にくるまれた踊り手たちが、天井から吊り下げられている。
    まるで、チャーシューとかハムのようだ。

    ……と、タイトルの「肉」から、意外としょーもない想像をしてしまった。
    しかし、そうではなかった。

    このシーンは「画」になる美しさである。

    しかし、ラップにくるまっていたり、網で吊り下げられていたりして、次にどう展開、つまり、踊るのかがわからなかった。
    「動けないじゃないか」と思ったからだ。

    しかし、そうではないことは、すぐにわかった。
    ラップからの出かただけでなく、網の中での動きも素晴らしいものだった。
    白い帽子を被っていたので、最初は男性が入っているのかと思っていたが(ダイナミックな動きなので)、女性だったと気が付いたときには驚いた。
    その動きの激しさに釘付けになった。
    そして、動いても「画」になっていたのだ。

    次に毛むくじゃらな、やけに背の高い不気味なモノが登場する。
    どこか鬼太郎的な妖怪や物の怪を思わせる。
    「お!」と、声が出そうになるほど背が高い。
    不気味だし、観客席に突っ込みそうになるぐらいに暴力的でもある。

    あれだけの長さがあって、倒れたときに、手を使わず足だけで立ち上がったのには、驚いた。さすがである。中に入っていたのは、あとで我妻さんだとわかるのだ。なるほど、と。

    その毛むくじゃらなモノが、あっさりとオンナの子たちに喰われていく。
    「肉」になっていく。

    さらに黒づくめで黒い笠を被った女性たちが現れるのだが、彼女たちもまるで物の怪のようだ。手に持った小さな鐘をリンリンと鳴らす。

    前半では、女性の恐さを感じた。
    分厚いメガネを掛けた少女たちが、毛むくじゃらな物の怪を恐れながらも、あっさりと倒し、喰らってしまう。
    この毛むくじゃらの物の怪は、「男」なのかもしれないと思った。女性から見た「男」だ。

    黒ずくめの女性たちも、黒いドレスから白い足が出てきているのだが、笠で表情が見えず、妖艶さに不気味さが加わる。。
    大駱駝艦の定番、赤いハイヒールを片方だけ履き、それがコツコツと激しく床を鳴らし、さらに恐さを増す。
    美しく、線がきれいな踊りである。だからこその恐さがある。

    後半は、女性的な要素が全面に出てくる。
    衣装を着ていても女性的であることが滲み出てくる。

    我妻さんは、岩場のようなセットの上にいるが、後ろ姿がやけに女性的なものを発散しているように見えてしまう。
    身体のラインを強調するような動きではないのに、前面で踊る女性たちのオーラに包まれているようで、そう見えるのだ。

    『肉のうた』は、女性そのものを見せているのではないかと思ったのだ。
    恐さ(それは私が男だからかもしれないが)、美しさ、あとは女性同士にしかわからない「何か」とか。

    冒頭でラップや網から「女」とし生まれ出し、「肉」(男?)を喰らい、死んでいったとしてもさらに「女」である、というストーリーだったのではないだろうか。

    80分という短い時間ながら、あらゆるイメージを凝縮し、1つの方法にとらわれることなく、表現して見せた、この作品は素晴らしいと思った。

    我妻さんのイマジネーションの豊かさと、作品にまとめ上げた力量を感じた。
    さらに、この舞台に登場した、大駱駝艦の女性陣たちの力量も、かなりアップしていたのではないだろうか。

    誰一人、劣っている者はなく、高レベルで、美しく表現していた。
    さらに、彼女たちのまとまりの良さを感じたのだ。

    作品とは関係ないのだが、公演の途中で、小道具のフォークが舞台の上に落ちた。
    もちろん拾うわけにもいかないのだが、そのままだと危ない。
    どうなるのかと思っていたら、出演者の誰かが、踊りながら、足でフォークをつかんで持って行ったようだった。誰が持っていったのかもわからないぐらいに巧みであり、観客もそんなことが起こっていたことは気が付いていない人が多いのではなかっただろうか。
    それぐらいすべてにおいて、緊張感があり、見事だったということなのだ。

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    2014/09/18 07:45

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  • 黒猫マークの宅配便さん

    コメントありがとうございます。
    私の見方は、偏ってます(笑)。
    まあ、「こういう見方をした人もいるんだなー」程度にしておいてください。

    いろいろな感情が肉体に宿った作品なので、「感情」だけを受け止めればいいのだと思っています。
    「私がこう見た」というのは、自分の中で整理をするためだけで、ホントは意味がないことなのかもしれません。
    「面白かった」「驚いた」だけで十分なのだと思います。

    10月18・19日には三件茶屋の大道芸イベントに、ゴールデンズが登場します。これもお時間があれば、是非。また違った面白さを見せてくれると思います。

    2014/09/21 07:12

    はじめまして。
    今年から大駱駝艦さんの公演を観始めた中年オヤジです。


    今回は全ステージ満席との事だったので、自分も入場できて良かったと思うのですが、満席も当然だというハイレベルな舞踏でした。
    まだ自分の観方がつたないため、漠然とした感想しか持てないのですが、こちらのコメントを拝見し、
    「あ、あの場面はこういう事だったのか!」
    と気付く事が多かったです。

    ありがとうございました。

    2014/09/20 17:41

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