我妻恵美子  「肉のうた」 公演情報 我妻恵美子 「肉のうた」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.8
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★★

    圧倒される80分間
    初めて壺中天に行きました。
    満席で、男女比は6対4で男性。
    年齢層は20代位までの人と、それ以降の年代の人がほぼ半数と言った感じでした。
    驚く事に、女性はほぼ20代の方で占められていたのが意外でした。

    今回は我妻恵美子さんの振鋳・演出・美術・鋳態作品だったので、女性らしい感性が感じられる、怪しくも美しい。そして恐ろしくもある公演だったと思います。

    「この時代に生まれたものとして、我妻恵美子を知らずして生を終える事なかれ!」
    と言いたい感じのパワーを貰いました。

    ネタバレBOX

    冒頭、ビニールに包まれた白塗りの女の子たちが登場し、それがスーパーで売られている肉にも見えたりしました。
    やがて、それがうごめき始めると、
    「かつて我々にも生命がやどっていたんだ!」
    と訴えかけてくるようでした。

    この後、ネットに入れられて天井から吊り下げられた物体が4つ登場しますが、アニメ「風の谷のナウシカ」で、風の谷の城の地下で羊水に満たされた子宮のなかでうごめく巨神兵を想像させます。
    心臓の鼓動に見えたり、生まれた胎児。不幸にしてこの世に生まれる事が出来なかった水子に見えたりしました。
    「毛柱獣」
    とでも表現すべき物体が登場し、舞台袖に追いやるのですが、それが性の営みにも見えたりしました。

    続いて登場するメガネ少女たちと毛柱獣の絡みは、少女が男と(図らずも)交わって子供を産むという過程を表現したものだと、自分は受け取りました。
    生まれた子供は、恐らく人外の子だと思われますが、食べられた毛柱獣から生まれたものが、我妻さんでした。

    時に肉体を失って天界から見下ろす魂を。
    時に肉体に憑依して動物や人間に。

    最後には、地上の人々を見守り、温かく(?)包み込む神になった。

    …と、自分は解釈しました。

    意外とエヴァ(テレビシリーズと旧劇場版)に置き換えると分かりやすい場面が多かったように思えるのは、自分がアキバ系オタだからかも知れませんが…。
    (特にラストシーンで、中央にいた我妻さんを囲むように周回する他の出演者の皆さんの様子が、旧劇場版でネルフ本部の上空を周回するエヴァシリーズに見えたからかも知れません。)

    とにかく、
    「何か分からないけど、物凄いものを観た!」
    感が、今回も半端じゃなかった事だけは確かです。
  • 満足度★★★★

    魂が動く作品
    このシリーズは2回くらいかな。役者魂を感じた。役者の中には涙でコンタクトレンズが飛び出てる子もいたくらい。パフォーマンスが皆、半端なかった。いい作品だと単純に思いました。

    ネタバレBOX

    中医学の木火土金水がベースになっているなと感じた。肉の味とかは五味を表現してる。強いものもいずれは、めぐりめぐっていく。それが世の中の原理だとメッセージしてる作品。
  • 満足度★★★★★

    拍手鳴り止まず
    客電が点いて、「終わりです」とならなかったら、いつまでも拍手が続いたのではないか、と思った。

    舞踏が好き、大駱駝艦が好きで、我妻さんの踊りも好き。
    なので、期待して見に行った。

    ネタバレBOX

    オープニング、真っ暗の中で幕が一気に引き込まれ、舞台が開いたのを肌で感じた。
    舞台に照明が当たり、舞台の上を見て、鳥肌が立った。

    ゴツゴツした岩場のようなものが舞台の上にそそり立ち、女性たちがラップにくるまれている。まるでスーパーに売っているスライスされた肉がトレイにあるように、だ。
    そして、その両側には網にくるまれた踊り手たちが、天井から吊り下げられている。
    まるで、チャーシューとかハムのようだ。

    ……と、タイトルの「肉」から、意外としょーもない想像をしてしまった。
    しかし、そうではなかった。

    このシーンは「画」になる美しさである。

    しかし、ラップにくるまっていたり、網で吊り下げられていたりして、次にどう展開、つまり、踊るのかがわからなかった。
    「動けないじゃないか」と思ったからだ。

    しかし、そうではないことは、すぐにわかった。
    ラップからの出かただけでなく、網の中での動きも素晴らしいものだった。
    白い帽子を被っていたので、最初は男性が入っているのかと思っていたが(ダイナミックな動きなので)、女性だったと気が付いたときには驚いた。
    その動きの激しさに釘付けになった。
    そして、動いても「画」になっていたのだ。

    次に毛むくじゃらな、やけに背の高い不気味なモノが登場する。
    どこか鬼太郎的な妖怪や物の怪を思わせる。
    「お!」と、声が出そうになるほど背が高い。
    不気味だし、観客席に突っ込みそうになるぐらいに暴力的でもある。

    あれだけの長さがあって、倒れたときに、手を使わず足だけで立ち上がったのには、驚いた。さすがである。中に入っていたのは、あとで我妻さんだとわかるのだ。なるほど、と。

    その毛むくじゃらなモノが、あっさりとオンナの子たちに喰われていく。
    「肉」になっていく。

    さらに黒づくめで黒い笠を被った女性たちが現れるのだが、彼女たちもまるで物の怪のようだ。手に持った小さな鐘をリンリンと鳴らす。

    前半では、女性の恐さを感じた。
    分厚いメガネを掛けた少女たちが、毛むくじゃらな物の怪を恐れながらも、あっさりと倒し、喰らってしまう。
    この毛むくじゃらの物の怪は、「男」なのかもしれないと思った。女性から見た「男」だ。

    黒ずくめの女性たちも、黒いドレスから白い足が出てきているのだが、笠で表情が見えず、妖艶さに不気味さが加わる。。
    大駱駝艦の定番、赤いハイヒールを片方だけ履き、それがコツコツと激しく床を鳴らし、さらに恐さを増す。
    美しく、線がきれいな踊りである。だからこその恐さがある。

    後半は、女性的な要素が全面に出てくる。
    衣装を着ていても女性的であることが滲み出てくる。

    我妻さんは、岩場のようなセットの上にいるが、後ろ姿がやけに女性的なものを発散しているように見えてしまう。
    身体のラインを強調するような動きではないのに、前面で踊る女性たちのオーラに包まれているようで、そう見えるのだ。

    『肉のうた』は、女性そのものを見せているのではないかと思ったのだ。
    恐さ(それは私が男だからかもしれないが)、美しさ、あとは女性同士にしかわからない「何か」とか。

    冒頭でラップや網から「女」とし生まれ出し、「肉」(男?)を喰らい、死んでいったとしてもさらに「女」である、というストーリーだったのではないだろうか。

    80分という短い時間ながら、あらゆるイメージを凝縮し、1つの方法にとらわれることなく、表現して見せた、この作品は素晴らしいと思った。

    我妻さんのイマジネーションの豊かさと、作品にまとめ上げた力量を感じた。
    さらに、この舞台に登場した、大駱駝艦の女性陣たちの力量も、かなりアップしていたのではないだろうか。

    誰一人、劣っている者はなく、高レベルで、美しく表現していた。
    さらに、彼女たちのまとまりの良さを感じたのだ。

    作品とは関係ないのだが、公演の途中で、小道具のフォークが舞台の上に落ちた。
    もちろん拾うわけにもいかないのだが、そのままだと危ない。
    どうなるのかと思っていたら、出演者の誰かが、踊りながら、足でフォークをつかんで持って行ったようだった。誰が持っていったのかもわからないぐらいに巧みであり、観客もそんなことが起こっていたことは気が付いていない人が多いのではなかっただろうか。
    それぐらいすべてにおいて、緊張感があり、見事だったということなのだ。
  • 満足度★★★★★

    無題1252(14-291)
    20:00の回(晴)、18:50会場着、19:00受付(1時間前から整理券配付…10名強並んでいました)。19:25番号順に階段に整列(荷物預りあり)、19:30開場、ひな壇、ベンチシート席、最前列の前にやや低めの1列追加(ということは2列目の方が観やすかったかも)、暗幕で舞台の様子はわからず。

    此処は初めて「 大駱駝艦」も初めて、いつもすぐ完売になるので本作は早目に予約(普段は予定だけして前日や数日前予約が多い)しました。

    20:04前説(80分)、20:06開演〜21:28終演。当パンをみると我妻さんを含め10人の女性ダンサー、「場面表題(SCENES)」が1〜10まで。

    幕の向こうは想像を超えたうごめく肉の世界でした。決してジメジメしたものではなく緊張感ある群舞、コミカルな動き、その合間にこの世のものとは思えない物の舞…目を見張るばかり。

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