満足度★★★★★
千年の都
祇園、京都を代表する風流な遊びのメッカだが、幕末、この地は勤皇 佐幕双方相乱れる情報合戦の陣中の場でもあった。そう考えて良かろう。無論、揚屋、茶屋が軒を並べ華を競う街でもあるから、表向きは、華やかで平和、その実、一旦、ことあれば、普段、目立たぬよう裏回りを勤める男達が、用心棒ともなれば、武士を相手の交渉人とも、また強訴人ともなったのである。それはそうだろう。千年を越える長きにわたり、都であったこの地は、たび重なる戦で散々辛酸を嘗めさせられてきた。闘い合う主体は勝てば権力を手中に、大きな力を持てるのだから、勝手にやればよい。然し、トバッチリを喰うのは、常に、ろくな武器も持たぬ民衆である。ろくな武器を持たぬ民衆が、武器を持つ相手や権力者に対して、どのように自分達を守り抜くのか? その答えの一つが、女性が、表の顔になることである。