テンペスト 公演情報 新国立劇場「テンペスト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    人力による魔法の世界
    シェイクスピアの最後の戯曲を、大掛りながら機械仕掛けではなく人力による表現を中心に演出し、幸福感と寂しさが美しく描かれていました。

    広い空間の中に照明が1つ置かれているだけの状態から、冒頭の嵐のシーンで大量の段ボール箱を載せた沢山の可動式ステージが持ち込まれ、印象的なオープニングでした。その後はそれらの配列を変えて様々なシーンを巧みに表現していました。舞台後方にはコンテナ埠頭のクレーンが数台そびえていて、海辺の物語であることや、妖精達が作業員の姿をしていることを整合させる役割を果たしていましたが、もう少しその存在に強い説得力が欲しかったです。

    原作を読んでいたり、他のオーソドックスな演出の公演を観たことがあれば、大量の段ボールの美術の使い方や、空気の精であるエアリアルがプロスペローの魔法で支配されていることを表現するために車椅子に座って登場することが腑に落ちますが、初めてこの作品に接する人は戸惑いを覚える演出だったと思います。

    3人のミュージシャンによるアコーディオン、コントラバス、足踏みオルガン、鍵盤打楽器等の演奏が幻想的な雰囲気を高めていて、柔かい響きが耳に心地良かったです。効果音の多くも楽器や声で表現していて、全てがプロスペローの魔法によるものという感じが出ていました。

    台詞回しは意図的にあまり朗唱的にならない様にしていたと思われ、堅苦しさが無くて親しみ易さを感じました。

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    2014/06/03 00:00

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