戯曲、地域、男と女のパラドックス
戯曲風味のシュール・レアリズムが突出しており、時に役者が、時に観客が困惑してしまう。
普段、いわゆる〈劇〉を観て、その役者が読み込む脚本の存在を気にする余地はない。シェイクスピア劇においては、難解な叙情詩のニュアンスなり、また伝統の文法式を意識することはある。これは、「英語圏の父」がシェイクスピアなのだから、その脚本(日本語訳だが)を役者、観客が「追う」のは当然の結末だろう。
ただ、『劇団かさぶた』はシュールレアリズムというべき都会の空気感が漂っている。NANASHI(力み気味)が前説にセーラ服姿で登場するなど、その姿勢は「反社会」である。
この形式が「戯曲」を正統に記し、演じ、それを異質にすることが既に異質なのだ。