満足度★★★★
男と女
中心に「46」、両端に「XX」「XY」の文字が光る、人間の男女の染色体を表すモビールの下の円形ステージで男と女の様々なやりとりが展開する、味わい深い作品でした。
短編戯曲を単純に順番に上演するのではなく、途中で一旦他の話に移ったり、台詞や小道具に関連を持たせたりして展開し、全体として一つの世界を作っていました。ドラマティックな展開は無く、登場人物もどちらかというと平凡な人ばかりで、狡猾だったり抜けてたりしても逆にそこに人間味があって愛おしさが感じられました。何気無い会話の中に印象的なフレーズがありました。
どの役者も演技が魅力的で、古めかしい言い回しの台詞も自然に響き、耳に心地良かったです。作品毎に役が変わるので、それぞれの役者の多様な面が見られて楽しかったです。
各作品の終わりで映像で題名と配役が表示されるのも親切で、かつ長い上演時間の中で程良いブレイクとなっていました。
こすると匂いが出る「ニオイシート」が配布され、指示された場面で匂いを嗅いで物語の中で漂う匂いを実際に経験する趣向があって、視覚・聴覚だけでなく嗅覚でも楽しめましたが、嗅ぐ行為によって折角の良い雰囲気が途切れてしまうのが勿体ないと思いました。
和装と洋装がポップにミックスされた衣裳が美しく、物語の世界観にもマッチしていて良かったです。