満足度★★★★
銀河鉄道の夜の謎はヴァリアントの豊富さから?
1974年、天沢 退二朗、入沢 康夫らが中心となって行われた原典批評による宮沢 賢治全集は、徹底的なテキストクリティックによって一時期を画した。筑摩書房版である。この全集のテキストクリティックの過程で「銀河鉄道の夜」オリジナルには、大きな改稿だけで初稿に対して3回の改稿が行われたことが判明した。初稿が書かれたのは1924年と推定されるが、第4稿が書かれたのは1931年頃と推定されている。殊に、3稿迄と4稿には大きな差がある。
今作は4稿をベースに北村 想が脚本を起こしたものだ。そして今作の特徴は、賢治が妹、トシを失った後の喪心の旅の中で書いた「青森挽歌」が挿入されていることである。