江戸系 諏訪御寮 公演情報 あやめ十八番「江戸系 諏訪御寮」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    あやめらしい劇場進出
    ブラックで闇があり、でも家族の暖かさが心地よく、神秘的で不思議な雰囲気を持つ作品が多いあやめ十八番を、私は気に入っています。
    堀越ワールドは、あのざらっとする感じというか、あのざわめく感じが好きで、心惹かれてます。
    あらすじは、観た人にしかわからない書き方も好きです。
    今回は、民話をベースにした2つの家のお話。
    民話、鬼、狭い島という閉鎖空間での土着とも言える風習、普通の家族の生活(篠塚家)と拝み屋(諏訪家)の呪いというか因縁というか。そんな2つの家のお話。そして宗教とデイサービス。
    篠塚家のエピソードが落ち着いても、諏訪家のエピソードは、大どんでん返しはあっても、結局は続いていく風習なんじゃなかろうか。
    というか、根本的な人食い鬼の存在が続いていくのが、ぞっとするラストでした。
    犠牲が当たり前になっている風習が、怖い。
    でもそれが、日本の民話っぽさでもある。そんな不思議な作品でした。

    生演奏でBGMだったり、効果音を出していて、すごいこだわり感を感じました。
    そういうの、私も好きだし、素晴らしいと思いますが、楽園だと狭すぎて、ボリュームが大きすぎる気も否めません。
    セーヌ・フルリサイズなら、あの編成で丁度いい気がするんですが、楽園だとうるさいと感じる場面もいくつか。
    歌は、堀越さんの年齢がわからなくなるような古い歌謡曲とか、洋楽とかがセレクトされていて、嫌いじゃない。
    暗い場面で明るい曲をアレンジしてたり、使い方も面白い。
    …けど、曲数は多いかも。バランスが悪く感じる場面もありました。

    あ、北沢洋さんが歌い踊るガラスの十代は、個人的に大好きです!素敵すぎる!

    2時間の中に盛り込みすぎも感じましたが、作品は素晴らしかったです。
    ちょっとマニア向けな気もしますが。
    楽園では狭くてちょっと長いかもですが、(あそこで通路も2本使い、扉も使っているので、客席は本当に狭い。)最後まで飽きない作品でした。
    もう少しシンプルにすることも出来そうですが。(話的には、複雑で難しい気もするので。)

    ネタバレBOX

    私の印象に残った役は、

    篠塚家側
    ・春平役の美斉津恵友さん
    美斉津さん演じる春平くんは、本当に高校生(正しくは中退)18歳でした。
    ご本人は「18歳ですよ。いいのかな?」なんて言ってましたが、全然違和感ないし。ハマり役でした。
    なんてピュアで、真っ直ぐなんでしょう!
    そして一目惚れからの淡い初恋は、甘酸っぱく、ときめきました。
    思いきりも良すぎです。そのエネルギーが羨ましい。
    あんな告白、されてみたい!
    にやにやが止まりませんでした。
    …でも、その恋は叶わない。
    何故なら…相手はお祖母ちゃん(見た目、少女。)だから…。
    切なく悲しく純粋な、初恋でした。

    ・お父さん役の北沢洋さん
    養子に入った婿殿ですが、それでも一家の主として、家族を考え、支える頼もしいお父さんでした。
    たまにお母さんに甘えるのも、はしゃぐのも可愛い!
    前回の淡仙女の時の水下さんが演じたお父さんを受け継ぐような、しっかりと家族を想い、ポジティブで、器の大きく、暖かい父親っていうのは、本当に理想的な。きっと堀越さんの理想でもあるのだろうなと思います。

    ・お祖母ちゃん役の加藤素子さん
    民話の朗読も素敵だし、自然に溢れる笑顔に慈愛を感じる、素敵なお祖母ちゃんでした。
    孫の為に英語を教えたり、すごく暖かい雰囲気を感じました。
    倒れて言葉が不自由になった時に、孫の春平が通訳してくれるシーンがすごく素敵だった。好き。

    そんなお祖母ちゃんが、デイサービスに行き、そこで間違ったご祈祷のせいで呼んでしまった鬼に、寿命を「借りて」しまい、記憶をなくした少女(土佐まりなさん)になった後の天真爛漫さ、純真無垢な感じが、明るく眩しかった。
    でも最後、孫(大森茉利子さん)と産まれてくる曾孫を守る為に、恐怖に震えながらも鬼に立ち向かう毅然とした姿は、美しかったです。

    諏訪家側
    ・琴美役の金子侑加さん
    拝み屋さんです。
    とにかく雰囲気があり、美しく、圧倒的な存在感と、カリスマ性を感じる威圧感。素晴らしい。そりゃ信じたくなるし、信仰しそう。
    そしてまた、別役とのギャップがすごい!

    ・志郎役の堀越涼さん
    とにかく胡散臭いチンピラ的な長男。神通力もなく、信仰心もなく、ただの欲深い人間であるからこその、裏側を支える胡散臭さ。
    ぞっとする。
    でも、宗教とデイサービスの抱き合わせで金儲けを考える商才は素晴らしく、経営能力は高そうだ。

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    2014/03/15 12:52

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