この葬式ショーに参列していることが嬉しい
「お葬式をミュージカルにしちゃえ!」というコンセプトであれば、最近、近親者を亡くした観客は「不謹慎にも程があるぞ!」だろう。
だが、一人ひとりのキャラクター性が造られた新喜劇だったため、そうした苦情すら生じないはずである。
帝国劇場『レ・ミゼラブル』のような、目を閉じ、聴きいってしまう歌声ではない。まるで、映画『ロッキーホラーショー』のミュージカル挿入部のごとく、大した意味のないソングは、我々の眼前に「アップ」で迫ってくる。
「もしかしたら、そうなのではないか…」
葬式の真相を、私自身は早く把握しまった結果、ラストまで待つ間のコメディすら疎ましく感じた。
ただ、 この劇団の良い点をあげれば、バナナの叩き売り だ。
つまり、完全なる新喜劇ミステリーを追求せず、観客が考察中だろう「真相」を早出しする器量である。早い段階から知った観客も、この値切りスピードの早さ(コメディは中盤、炸裂が止まったか)なら参加できる。
少なくとも、コメディ・ファンであったり、ミュージカル映画を盛んに鑑賞する人間であれば、足を運び損することはなさそうだ。平日昼のシアターグリーンを満席にさせた事実、(ダンス学校関係者こそ多くみられたものの)それは極めてホットな現象である。