満足度★★★★★
リアルな家族劇の秀作
翻訳劇は、時として、観客は置いてきぼりにされる場合が多いのですが、この劇は大変普遍的で、誰の胸にも響く、リアルかつ秀逸な家族劇だと思いました。
ビリーとシルビアは、耳が不自由な障害を持っていますが、それがこの劇のシチュエーション上、決して特殊な家族の形態ではない点に、戯曲の深さを感じ、魅了されました。
田中圭さんの手話が、台詞以上に雄弁で、感動的でした。
演出、戯曲、キャスト、スタッフワーク、全てにおいて、一級品の本物の演劇作品に、終始酔いしれる思いを感じました。
ずっと、父親役は、吉田鋼太郎さんが代役をなさったのかとばかり思っていましたが、どうやら、私の錯覚だったようです。(ご指摘下さった方にお礼申し上げます。)でも、だとしたら、大谷さん、少し、台詞を噛まれることが多過ぎたような気もします。代役なら、致し方ないと思ったのですが…。