声を張る
故つかこうへいさんの遺志を継ぐ、★☆北区AKT STAGEをはじめ、
多くの劇団が取り上げるつか作品。
大きい劇場で『飛龍伝21』が桐谷美怜さん主演で行われたりしているが、
小さい劇場でも観たくて、
★☆北区AKT STAGE代表でもある逸見輝羊さん演出の公演を選んだ。
これは『熱海殺人事件』を元に、さまざまに発展(枝分かれ?)したひとつ。
さて、メインの部長刑事・木村伝兵衛は女性となる本作品。
そう言う矛盾も超越して成立してしまうのがつか作品。
その伝兵衛を演じたのは桜田聖子さん。
なんだかサンミュージックのスーパー・アイドルの名を合わせたような名だが、
ルックスも美しい。
ただ、声質は、他の作品で観たい感じがした。
作品中、ネタになっていたけれど、
やはり『つか作品』は、声を張る必要があると思う。
そこで伝わるモノが生まれるような気がする。
つか作品には、差別、戦争、政治、SEXなどに対する
痛烈でストレートな表現がある。
だから、人気絶頂の広末涼子さんの胸だって鷲掴みで揉ませてビックリさせられる。
そういう意味で、常にリアルだった。
そう考えると、演者と至近距離の小さな劇場で、
今回はややリアル感に欠け、少々興ざめした。
また机に仕込んでおくべき小道具(おそらくハリセン?)が仕込まれていないという
ハプニング(失態?)も残念。
まぁ、それを笑いに転嫁した機転はかうけれど。
すでに完成された作品で、これまでに何度も上演され、
内容が解っている作品でユーモアを再生させるのはなかなか難しい。
予定調和になりがちなその展開やユーモア。
それを克服するには、やはり演者の気迫でしかないような気がする。
後半に気持ちの高まりを感じることができたので、
今後に期待したい。