満足度★★★★
鑑賞日2014/01/12 (日)
売春婦、離島出身者、在日朝鮮人、働く女性、ホモ…等々、作者の出自がそうさせたのか、社会的に弱い立場の人達への、慈愛に満ちた芝居です。
でぇ、このホン、セリフが基本、絶叫調で、身振り手振りの大きな演技、求められる芝居なんです。下手すると、気合いがカラ振りしがちな作品。
ですが、今回のヒロイン、往年のアイドル・タッグチームみたいなお名前の女優・桜田聖子さんを初めとする、達者な出演者たち。
そして、つかさんの直弟子の方の演出。
しっかりと受け止めさせて頂きました、皆さんの技量と熱意♪
満足度★★★★★
熱海殺人事件。良作です
熱海の方を拝見しました。つかこうへい氏の作品は、何本も観ましたし自分もやったことはありますが、今回の作品は良い出来だったと言い切れます。
音楽にかき消されてしまう叫びも、こちらでは聞こえない美学のようなものを感じました。つか作品でよく言われる、セリフが聞き取りづらい点も、本公演では大分良い方であると感じることができます。自分が観た回ではハケなど気になるところも正直多かったですが、それを入れてもとても楽しめました。以下
満足度★★★★★
売春捜査官観劇
今回は売春捜査官を観劇。実にキャストが素晴らしい。木村伝兵衛部長刑事には、北区AKTStage代表の逸見さんの奥様である桜田聖子、逸見さんと結婚してなかったら一生この役はやらなかったのではと思える女優さんです。最初は熊田役の三浦祐介の声に負けて大丈夫かなと思ったが、表情の一つ一つが実にいい。三浦さんは北区つかこうへい劇団時代最も評価していた俳優さんの一人であるが、解散後はつかこうへい作品から遠のいていた。昨年の錦織の熱海で演出助手を務めていたのでいつかこんな日が来るとは思っていたが、懐かしかった。これだけ迫力のある熊田留吉をみる機会はなかなかない。風間杜夫が熊田を演じていた時はこんな風だったのだろうかと思った。大山金太郎役の新原は一昨年、昨年と、彼の所属する扉座のつか版忠臣蔵で市川団十郎を演じ、実にカッコ良かったのだが、北区AKTSTAGEとの共演にて大山金太郎をも演じている。これらのステージですっかりファンになってしまった。今年はつか版忠臣蔵は紀伊國屋ホールでやるとのこと、これも絶対外せない。
斯様なキャストの売春捜査官、満足の二時間余であった。
声を張る
故つかこうへいさんの遺志を継ぐ、★☆北区AKT STAGEをはじめ、
多くの劇団が取り上げるつか作品。
大きい劇場で『飛龍伝21』が桐谷美怜さん主演で行われたりしているが、
小さい劇場でも観たくて、
★☆北区AKT STAGE代表でもある逸見輝羊さん演出の公演を選んだ。
これは『熱海殺人事件』を元に、さまざまに発展(枝分かれ?)したひとつ。
さて、メインの部長刑事・木村伝兵衛は女性となる本作品。
そう言う矛盾も超越して成立してしまうのがつか作品。
その伝兵衛を演じたのは桜田聖子さん。
なんだかサンミュージックのスーパー・アイドルの名を合わせたような名だが、
ルックスも美しい。
ただ、声質は、他の作品で観たい感じがした。
作品中、ネタになっていたけれど、
やはり『つか作品』は、声を張る必要があると思う。
そこで伝わるモノが生まれるような気がする。
つか作品には、差別、戦争、政治、SEXなどに対する
痛烈でストレートな表現がある。
だから、人気絶頂の広末涼子さんの胸だって鷲掴みで揉ませてビックリさせられる。
そういう意味で、常にリアルだった。
そう考えると、演者と至近距離の小さな劇場で、
今回はややリアル感に欠け、少々興ざめした。
また机に仕込んでおくべき小道具(おそらくハリセン?)が仕込まれていないという
ハプニング(失態?)も残念。
まぁ、それを笑いに転嫁した機転はかうけれど。
すでに完成された作品で、これまでに何度も上演され、
内容が解っている作品でユーモアを再生させるのはなかなか難しい。
予定調和になりがちなその展開やユーモア。
それを克服するには、やはり演者の気迫でしかないような気がする。
後半に気持ちの高まりを感じることができたので、
今後に期待したい。
満足度★★★★
創造の坩堝
つか こうへい亡き後、良くその作品テイストを再現し得ている。つか作品に限らず、芝居に同じものは2つないが、つか作品は殊に、それが顕著である。つか自身、ずっと徹底した「演劇一回論者」であり、所謂、印刷台本は長い間残さない人だったからである。だからこそ、本公演が始まってからも毎日最低1時間は練習時間をとり、必要とあれば、その場で口立てして、演者に科白を入れ、それを本番の舞台で演じたのであった。だからつかの舞台はフツフツと創造の滾る坩堝だったのだ。それ故にこそ、史上初の熱狂を以て迎えられたのであり、演劇というより事件だったのである。その坩堝の滾る感じが、この舞台には隋所に見られた。よくここまで、と感心していたら、演出の逸見輝羊氏は、つか氏の作品に実際出ていた役者であり、今迄につか作品の演出もこなして来た、と知って納得した。
また原作者、つかの持つ出自故の優しさが、フツフツ滾る舞台の隋所に嫌みなく描かれ、優れた舞台と言える。
一点、或いは、わざとかも知れないが、音響のチェンジの際、もう少し自然に移行させた方が、良いかも知れない。音響のチェンジの点だけ気になったので、星5つにはしないが、良い舞台であった。