ある程度の教育【フリーカンパ制につき無料公演】 公演情報 ポーラは嘘をついた―Paralyzed Paula―「ある程度の教育【フリーカンパ制につき無料公演】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    才能の輝き
     モノとの適切な距離感が、硬質で透き通った言語強度を生み出しており、モノローグの部分は、演劇シナリオというより詩である。パパとの会話になった時に、詩の呪縛は解かれるが、会話部分に詩的硬度を持ち込んだら、めくるめく作品になるだろう。それができるポテンシャルを秘めた作家なのではあるまいか? 今回は、其処まで、凝っていないので、星は4つにしたが、今後、大いに楽しみな才能である。

    ネタバレBOX

    人口抑制が急務である現在に近い近未来、子宮内では臍の緒で繋がった胎児が、言語学習、一般常識等を学んでいるが、彼女も実は16歳である。而も、未だ外界には出られないのだ。老子を目指しているわけではない。唯、許しが下りないのだ。とはいえ以上のようなことを言い得る程に外界とのコンタクトは取れており、彼女はパパを認識することもパパと交信することも可能である。そのパパから生まれ出る許可が、まだ下りないのである。
     通常10月10日で産まれるハズの胎児が、何故、16年間も子宮内に留まっているのか? パパが言うには、未だ早いのだという。だが、何故未だ早いのかは中々教えてくれない。良い子にしていれば産まれることができる、とも言うが、良い子にするとはどういうことか、良い子とはどんな子かは、考えると混乱をきたす。問答をしているうちに、パパは、少女がロボットなのだという。そしてロボットが問題なく外界に接触出来る為には、外界の総ての機器が、ロボットの構成機器とキチンとシンクロしなければならないのだと言う。そうでなければ、壊れてしまうのだと。だから出す訳に行かないのだと。こんな話を聴く前迄は、少女もパパを産まれるぞ! と脅かすこともできたのだが、この件を指摘されてからは、問題は自分の現実存在を破戒、即ち身体の死と考えるレベルで自由を選択することの重さが加わった。結果、自由とは、身動きならぬものであるというテーゼが現れてしまった。
     ファーストシーン、いきなり暗転した中でモノと触れあうだけで結晶化する認識と言語が、その結晶化に相応しい硬質な暗闇の中の水晶のような硬度を以て語られるのだが、その知育程度に於いて般化され、孤立の余り透き通ってしまったかのような胎児の目が見えるようである。

    0

    2014/01/13 18:33

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大