虹色の涙 鋼色の月 公演情報 企画演劇集団ボクラ団義「虹色の涙 鋼色の月」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    すいません、ベストコンディションで観たら最高の舞台でした
    (2回目の感想失礼します。)
    すいません、何はともあれまずは前回の感想で自分が思った事、
    観た(つもりになっていた)ものについて勘違いなど多々あった事、
    それらをベストな状況で観劇しなおしたら改めて気付かされました。

    「前回の感想ごめんなさい」と謝りたい気分です。
    (申し訳ないのですが、前回の感想は確かに前回の感想なので
    メンテせずに残し、こちらに今回の感想で書かせていただきます。)


    OVER SMILE(Play.Againの方)を2回観劇した時から思っていたのですが、
    ボクラ団義の舞台には
    1.「初見の楽しみ」と更に
    2.「2度観(目)の楽しみ」があるな、
    と今回もやはり思わされました。

    初見では複雑怪奇な物語が展開され紐解かれていく
    (観客自身が理解していく)様に驚きを覚えながら観劇し、

    そして2度観ではネタをひととおり知ったがゆえに分かる、
    初見では気づけなかった役者陣の一挙手一投足、演出その他に
    込められた更なる伏線などボクラ団義の舞台の芸の細やかさに
    更に驚きを覚えながら感激してしまう、
    という楽しみ方があるのかな、と。

    特に今回は1回目は椅子のせいで否定的な気持ちになっていたのか、
    「いつも通りよく出来ている物語/舞台、だが…」のような
    自分に合わなかったかのような感想を持ってしまっていたのですが、
    今回ちゃんとベストな状態で観なおしてみたら全然違う感想を
    抱いた事に自分自身も驚きました。
    (残念なのは今回「初見の楽しみ」が椅子のせいで奪われた事でしょうか…)

    ※ ただ、確実に前日よりもお芝居が更に良くなっているような気もしました、
      これは劇場慣れなどといったものなのか、
      あるいは舞台公演中も演者の皆様日々精進されている
      成果なのでしょうか?


    話は変わりますが、CoRichの感想欄だけで僕と他の方1件、
    SPACE107の前席(X~Z)の辛さについて指摘していました。
    (=実際は他にも多くの方があの椅子に辛さを感じて、
    この劇の本当のポテンシャルを楽しめていなかった
    可能性があると思います。)

    次回公演もSPACE107を使うとの事で、
    僕らが次回前席に座らなければいいというだけの問題ではなく
    ハンズで売ってる600円ちょいのクッションをつけるなど
    なんらかの対応をとっておいた方がよいのではないでしょうか?
    (椅子ごときの為に舞台の感想が変わるなんて
    (申し訳ない話ですが)もったいなすぎます。)

    ネタバレBOX

    前回の反省を活かし今回は携帯用クッション持参で参りました。
    空気を入れるタイプ(かなり携帯性にすぐれる)も
    持ってきたのですが、ぽっちゃり系な自分が座る事で
    これがパンクなどしたら舞台自体が壊れてしまうとの恐れから
    こちらの実戦投入は避け普通のクッションタイプのものを使用しました。

    多少席の狭さは気になるもののお尻、脚ともにすごく快適でした。

    ※ もしかしたらクッションのせいで自分の座高が上がり、
      後ろの人の観劇の妨げになっていたかも知れません。
      そうだったらごめんなさい!




    で、舞台の方ですが、初見ではなくアフターパンフレットも
    本格的パンフレットも読んでの2度観でしたが、
    やはりボクラ団義は面白かった、完全に気持ちを持ってかれた、
    という感じです。


    ・ まず驚かされたのは、初回は普通に観てしまっていた冒頭から
      もう表情や身振り手振りで伏線を張りまくっていた、という事実でした。


      最初にルナからイセが海の色を聞かれた時の表情、
      若干の間と返答自体に含まれたニュアンス的なもの、
      それがイセも色盲、更にはジンの息子であった事に
      ついての伏線であったとは・・・
      (初見では、ミナトから指摘があった時初めて
      「ああ、そういえばそんな事言ってたような」程度しか
      記憶していませんでしたが、それがこんな形で
      最初から細やかに演じられていたとは思いませんでした・・・)


      そして、予見の力を使う際のあの片目を隠すポーズ、
      これがジンに始まり、その死をきっかけとして
      ルナ、カイ、最後にはイセまで、
      (予見の力の説明が出る中盤よりもかなり前から)
      物語が展開する際にたびたび表現されていたとは・・・


      あとこれは完全に単なる見落としでしたが、
      カラブリは剣なりなんなりいろんなものを空振りしてたんですね( ´ー`)


    ・ ミステリ部分について、
      初回を(ダメなコンディションで)観て、
      アフターパンフレット、本格的パンフレットを読んで、
      それでもまだ理解しきれない
      (物語としてそこだけ成立していたかどうか疑問になっていた)
      部分があったのですが、
      ベストの状態での二度観で、やっと長の死、少女の証言、
      そこから生じる矛盾、
      その後の各人の行動、第二第三の殺人、
      すべての真相について
      劇中の内容が自分の中で腑に落ちたような気がします。

      単純に初回のコンディションが悪かったからか、
      あるいは今回は結構難解なお話だったのか、どちらだろう(??)


    ・ 色々な箇所で少しずつ涙腺に来るものがあったのですが、
      イセとジンとの最後の別れだったか、
      あるいはイセが第二第三の殺人の容疑をかけられてしまう
      無声芝居の場面だったか、
      あるいはルナがニホンの少女の話を聞き、それに対して
      自分は何も出来ない事を悔いる(恥じる?)場面だったか、
      どこかの場面で確かに泣いてしまいました。
      (泣いたり笑ったり喜怒哀楽の感情を表に出す事や涙を流すのは
      健康にいいなどと言いますが、こうやって舞台上の役者の演技や
      役柄などに気持ちを重ねて自分の感情を刺激してくれるのも、
      役者と観客とが同じ空間で演じ、それを観劇する
      お芝居の良い所だと思います。)


    ・ 1つの大きな物語(メインストーリー)の中でいくつもの人達
      それぞれの物語も同時に展開している事に改めて気付かされました。

      ・ 「美しい雪、では雪とはいったい?」という失われた過去から来た
        自分の名前や「孤島」「南海」「東の月」などの謎の言葉に興味を持ち、
        そして殺人事件を追う邏卒でありストーリーテラー的な役割を果たし、
        最後には捜査日誌は航海日誌となり、
        綺麗な雪、その雪降る国ニホンへ向かうミユキの物語

      ・ 殺された長ジンとイセ、そしてジンとサカイガワの間に
        隠されていた物語
        (まあ、これはメインストーリーですね)

      ・ (今回もやっぱり気になった)
        愚直なまでに母と自分の正義を信じていたのに、
        自分が悪事の片棒を担がされていた事を知り、
        そして殺されそうにまでなって
        悪と権力への欲へ落ちてしまった、サンゴ

          ミチサキがどの場面でサンゴの手にかかったのか
          初回はイマイチ分からなかったのですが、
          2度観でウエシマと組み合っている所を
          ミチサキごとなで斬りにするサンゴの姿を
          見て、「ああ、こういう形だったのか」と
          分かりました。
          母親を盲信し続けた若者の悲しい形の親離れ、ですかね。。。

      ・ 海へ出たい、海に立ちたいというあこがれをイセ同様に持ちつつも
        島のしきたりに従い海辺での釣りと素潜りだけで漁をしてきた
        漁師たち、そして仲間の死とそれに対して何も出来ず
        逃げ出したイセへ怒りをぶつけ、
        イセが宮へ乗り込む時には「俺たちは何もしない」
        と言いながらも加勢にかけつけ、
        最後にはそれぞれの適正を活かして海へ乗り出していく
        仲間思いの漁師たち

        そしてサンゴに殺されてしまったアキカゼの無念・・・
        (網の話だけ最後なんか笑いのネタになってましたね。゚(PД`q。)゚。)

      ・ 新たな造船技術を求めて孤島へ辿り着き、
        それが引き金となって島中を争いの中へ落としてしまった原因でもあり、
        そしてみんなに「みんなが乗れる大きな船を作って島を出よう!」
        と大演説をぶって、
        ただ刀、武器を作る為だけに鉄、鋼を叩き続けたウツセミや
        とにかく金の為に立ちまわるゴンドウ達を説得したクッキー

        初回はイセの海にかける情熱が一番目立ったのですが、
        今回はクッキーの大演説シーン(それぞれにかける言葉の1つ1つ)が
        かなり記憶に残りました。

      ・ 「古代の兵器を復活させた、この島はもう終わりだ」と
        争っていたカイやサンゴを止め、「自分はこの島に残る。
        まあ、残った者達もしばらくすれば仲良くなるだろう」
        と、この孤島に残る道を選んだ
        (ジンの最後の願いである「後を継いだ」ともいえる?)
        サカイガワ(とヒラセ)

      その他にもカイやエミリの物語も・・・


    ・ (いつもそうだったのかも知れませんが)
      お芝居中に入るダンスに、
      物語の先の展開などを予兆させたものと
      物語のシーンの一部としてのものと
      そういう使い分けがされていた事に初めて気づきました。


    ・ 笑いを取りに行くべき部分と、ここは取らないでおく、
      という部分の使い分けがすごい、と感じました。

      「サスペンスファンタジー」とは言ってもボクラ団義、
      ちゃんと観客みんなの笑いのツボは押さえてますよ、
      と物語中に多々織り込まれる笑いのネタ、
      しかし、ここぞという場面では「笑わせに行く事もできるが!?」
      と観客にも思わせながら、しっかりシリアスな劇にしていたり、
      という笑わせる部分とそうでない部分の緩急の付け方が
      これまたうまいなあ、と
      (「サスペンス」としてちゃんと成立させられる
      絶妙な笑いの配分だったと思います。)


    ・ (これは初回も感じたのですが)
      例えば群衆での殺陣については実際は相手の身体の離れた所で
      止められた刀を剣戟の音と観客(自分)自身の想像力を働かせて、
      「ここでは壮絶な争いが繰り広げられている」とイメージしていた
      つもりなのですが、

      イセ(竹石さん):カイ(沖野さん)の1:1の戦いで
      「やっぱりこの2人の殺陣は映えるな!」
      と思わされたら更に続くカイ:サンゴ(加藤さん)の殺陣もいい、
      更に・・・と

      これらの時は想像力の力を借りるまでもなく迫力が違う、
      剣と剣が本当にぶつかりあいかわしあいしているのが観ていてわかる、
      この凄さは今回のキャスト全員の修練の賜物でもあるのでしょうが、
      やっぱり沖野さんがすごいのかな、と

      あのダイナミックかつアクロバティックなアクションを観ると、
      「(本人否定の)アクション俳優」の名に恥じない
      素晴らしい殺陣でありアクションだと思います。

      沖野さんが絡むと殺陣の迫力が変わる。。。


    ・ 初回観劇時は多分歌詞が頭に入っていなかったのでしょうが、
      火矢に沈みゆく船に合わせて
      ローズインメニーカラーズさんの

    ×  「しーずーみーゆーくー、船を見ーてるー」

    12/11ツイッターでご本人に指摘されました(´∀`*)
      「沈んでく船を見て」

      という歌詞が、13年前の楽曲とは思えないほど
      ピッタリマッチしている事に驚きです
      (脚本/演出も13年前にこのシーンを考えて作った(笑)という
      ローズインメニーカラーズさんもスゴイ!)。

      だからあのタイミングであの楽曲が入り、
      歌の盛り上がりに合わせ、物語の更なる展開を仕込んできた、
      という事か、と納得と驚きです。


    ・ 前説で、今回とうとう出演者陣から大神さんだけでなく
      客演の宇野さん(でしたよね?)も投入されましたが、
      やっぱりアドリブで笑いを取るのが上手いですね。

      大阪人のDNAにはいつでもどこでもボケとツッコミと
      笑いのネタが取り出せるアドリブ神経のようなものが
      組み込まれているのか、と感心(というか感嘆)しました。



    【以下、すいません、勘違いしてた、気持ちが変わった部分】
    ・ 長ジンがサカイガワに「もう楽にしてくれ」と確かに言ってました。
      昔兄弟で争っていた事を前振りにした上で、
      死に際の苦しみの中でジンは確かに
      「もう楽にしてくれ」と、弟サカイガワに懇願して、そして・・・
      の行為でした。
      確かに最後に手を下したのはサカイガワ、で物語すっきりしてますね。

      ただどうして女邏卒ミユキが2人が兄弟である事と
      手を下したのが本当は誰か、という所まで推理できたのか、
      については、更に観劇しないと分からない謎ですかね。。。


    ・ 「虹色の涙」は決してイメージとして弱くない。
      イセにのみ予見の力が残りルナは色を感じる事が出来るようになった
      (と推測される)、

      アヤブキが「色の分からない姫にも、色調の違いで楽しめるように」
      と仕立ててくれた虹色の船の帆、

      そして争いの中破滅に向かう島を何も出来ずに脱出した後悔と
      これから向かう未知の国への期待その他色々なものが
      感極まった瞬間のルナの涙、

      エミリが「帆の色は何色に見える?」と聞いた時に
      「涙で見えない」との事、

      この虹色を見つめた涙を指して「虹色の涙」、

      パンチは十分でした。


      ただ、順で言うと「鋼色の月 虹色の涙」なのかなあ、とか思ったり


    ・ OVER SMILEの世界との繋がりは「イイ!」と思えてきました
      ・ (OVER SMILEの物語で)
        世界が争いに滅び、ニホンに逃げ延びた一部の人々が更に争い、
        いつしか3つの色に分かれて更に争いは続き、
        しかしその争いをたった1人の少女が終わらせた、
        というクッキーの説明に対して

        同じ少女でありながら何もできない自分を責めるルナ

      ・ そして、真犯人が分かったはいいが、それが元で島を分けての
        争いになってしまい、
        漁師イセは父親である長ジンの
        「ルナやその他の人を守って島から脱出して欲しい」という願い、
        自分の仲間である漁師その他の人々もこの争いから助けたい、
        そして何より長く禁じられ知る事もなかった海とその外の世界について、
        島民として漁師として1人の若者としてのあこがれから
        海へ出る、クッキーのいた国「ニホン」を目指して

      ・ イーストムーンの人々は元々戦火のニホンを逃れて、
        孤島イーストムーンへ渡ったというクッキーの説明に対して、
        ニホンでの言葉を名前に持つそれぞれの人々のニホンへの憧れ

      そういう色々な意味をあわせると

      やっぱり東の太陽「ニホン」とその更に東の孤島「イーストムーン」、
      この物語がつながるのは意味がある事なのかな、
      実際舞台上の各人と同じ気持ちで考えた時、
      クッキーの言う「ニホン」は憧れの地であり、
      そのあこがれの「ニホン」がOVER SMILEの舞台であった
      あの世界である事からOVER SMILEを観劇した人にとっては、
      「憧れ」「新天地」など色々なイメージを膨らませる
      (膨らませやすい)材料になるのかな、という意味で
      やはりOVER SMILEとつながる事は良かったと思います。


    以上長々とすいません。
    大阪公演頑張って下さい。


    PS.すいません、忘れてました。
      第二第三の殺人の後イセがミユキの元を訪ね、
      犯人はカイである、カイは次にイセかルナを狙う、ルナが危ない、
      と言った瞬間にスポットライトが移り、
      カイとルナの会話、そしてカイのルナを殺そうという決心
      (幸いエミリが現れた事で回避されましたが)
      こういったストーリーの流れ流れでの上手な場面の転換に
      「TVドラマを観ているかのようなテンポの良さ、シーンの切り替わり」が
      これまたすごいな、と思いました。
      1つの舞台の中でほんとにいくつものシーンを使い分け、
      そしてその切り替わりのテンポがほんとにいい、
      こういった上手さもボクラ団義流舞台の強みだと思います。

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    2013/12/08 01:22

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