うなぎとそうめん 公演情報 TOCA*「うなぎとそうめん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    まるごと舞台
    毎回の如く、甲斐の作品には女優石川油は欠かせない。
    なぜなら、甲斐の作品自体が生活臭があるからだ。

    それは孤独を補う薄汚れた臆病な犬だったり、枯れた鉢植えだったり、生活に疲れたオンナだったり、堕落した色あせた画像が浮かびあがるのです。


    ですから、彼の作品には派手な目鼻だちくっきりのオーラのある女優は似合わない。


    で、石川油なのです。
    彼女には幸薄い役がよく似合う。

    非常に素晴らしい女優です。
    ビニール袋を提げた、うらぶれたオンナの役を本当に自然に演じてました。


    以下はネタバレBOXに。。

    ネタバレBOX


    名曲喫茶ミニヨンでの一室の全てを舞台にした作品。
    観客はワタクシ達ですが、同時にワタクシ達はそこに座っている事で既に客という役柄を演じているのです。

    ワタクシ達を巻き込み、あたかも本当にそこで起こっていると感じてしまうような設定です。


    選曲はボレロとカノンです。
    カノン・・・現在の著名な音楽にカノンコードが使われてると言っても過言ではないカノン。

    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=463875363&owner_id=7113540




    荻窪の喫茶店ミニヨンに集まった黒い服の女(川端の妻)とスーパー帰りの女(川端の元カノ)と珈琲を入れ忘れる女(川端を愛したオンナ)の3人が川端が亡くなった今でも、川端を愛し、川端の思い出に浸り、どうしようもない思いにかられる情景を切なく時には激しく揺れながら、それでも自分を騙し騙し今を生きるオンナ三様を描いた作品。


    「川端はあなたを抱きましたか?」

    妻が珈琲を入れ忘れる女に質問した言葉。
    これが妻の全ての感情の集約です。


    甲斐の本には必ずといっていいほど、季節や匂いや温度や湿度、埃、食べ物、色が表現される。

    それらは生活であり錆びた血の匂いであり、息遣いだ。


    表現する手法は決して広くない。
    時代を遡り時空を超えてロマンを追求するものでは、決して無い。

    舞台の設定はレストランだったり、喫茶店だったり、身近な場所なのだ。
    物語りも決して難しいものではない。
    切り口は実に単純で現実に起こりうる作風なのだ。



    そうして、必ず人間とは何か、生きるとはなにか、という
    普遍的なテーマを一貫して追求する。



    今回も夏蝉のジージーと鳴く暑苦しい声や、先輩の背中から射す逆光、部室の汗や埃の匂いの表現は素晴らしいです。


    よくぞ、ここまで。。

    人間の感情の流れを描いたら、彼の右に出るものはいないのではないか?


    そう思わせる作品でした。。


    相変わらず素晴らしいです。

    2

    2008/06/16 21:55

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  • おーじ>
    甲斐の作品って、普通で普通でない。
    単純だけど、独特。
    どこにでもあるような物語だけれど、エグイ。

    人間の底の部分にあるむき出しの感情を人はみな隠して生きてるでしょう?
    どうにもならない部分をなるべく触れないように生きてる。
    これ以上、傷が深くならないように。


    その部分を鷲掴みにして「はい、どうぞ!」と見せるのではなく、覗かせるように見せる。といったほうが的確かと・・。

    要は、人間の襞の部分を表現するのが上手い!

    ただ、「良く解らなかった!」と感想を書いた方もいらして(アンケートに)、やはり、芝居というのは感受性の問題かと、つくづく思ったのでした。。


    ワタクシは甲斐の作品はとても好きです。
    次回も必ず、観ますよ。
    たぶん、ずっと追っかける!(^0^)


    しんろく、ろっく、甲斐・・・と、本当に巨匠揃いですよ。
    中でも、しんろくと甲斐は切なく悲しいけれど、表現は真逆です。

    素晴らしいですね。ホンマ、三度の飯より・・・ですわ。

    って、飯も喰ってますが!(^0^)


    2008/06/16 23:55

    実はこの作品、当初観劇予定だったのですが・・・。

    う~ん、見逃してしまって、ちょっと残念・・。

    でも、少し陰影のある作品だったのでしょか・・。

    2008/06/16 23:29

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