巣窟の果て 公演情報 643ノゲッツー「巣窟の果て」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    大人の責任を問う
     あまり当てにならない占いを生業に共同生活をしている若者グループ。実は、全員孤児だ。(多恵だけは、園長の死後、孤児になった。即ち園長の娘である)

    ネタバレBOX

     一緒に住んでいるのは、支援者がこの建物に居住することを許してくれているからだが、住民は総て同じ施設に居た仲間である。但し、年齢は少し離れている。皆の夢は、施設を再建すること。だが、仕事は中々長続きせず、資金はままならない。その中で、或る程度続いているのが、一応、雰囲気を持ち、且つ、子供の頃に占い師になりたいと言っていた“先生”が占うという形をとっている占い事業だけなのだ。クライアントを信じ込ませる為に、個人データを様々な形で仲間が入手しておき、それらを用いて信じ込ませておいてから、当たり障りのないことを言って丸め込むのである。総ての占い師がそうであるように。この時、占い師先生は、仲間が裏で資料を見ながら教えることを瞬時にクライアントの前で繰り返す。(裏方と先生とのコミュニケイションは“コツ伝導”と呼ばれているが、コツに骨をいう字をあてるのかどうか定かではない。)
     ただ、先生には妙な癖がある。いい年をして、小便を漏らすのである。それが、毎月同じ日だと指摘したのは、多恵だ。彼女は、先生が態とやっているのだと非難する。それは、毎月13日、園長の月命日に当たる日だからである。すると先生応えて曰く「園長を殺した癖に!」彼は、見ていたのだ。年長の多恵、瀬戸、佐伯の三人が、園長を井戸端に呼び出して突き落とすのを。警察は自殺と判断し、事件はそれで一応収まったのだが。
     三人は、何故、こんなことをしたのか? 而も、多恵は、園長の娘である。実は、園長に児童虐待癖があったのである。園児達が10歳を過ぎる頃から虐待は夜毎続けられ、多恵は実の父にレイプされ、身籠ってしまった。流したが、彼女は深く傷ついた。而も、男の子達が、高校生になる頃には、虐待は収まってきていた。多恵が、レイプされたのは高校生の時、何度もである。何れにせよ、自分達の次の犠牲者は、今、小学生の、弟とも妹とも思って来た小さな子達だと考え、自分達がされたような事を、この子たちには避けさせたいと殺害を決意し、実行したのであった。その後、直ぐ、自首しようと考えたのだが、年端も行かないこの子たちを放りだすことも出来ない。そう思い直して、彼らが自立できるような年になったら、真実を話し自首しようと考えていたのだ。
     だが、この話を瀬戸の会社の同僚に立ち聞きされてしまう。自首するということでケリをつけ、三人は、後を若い世代に託して出て行く所で幕。
     似たような年代の役者が演じ、話の内容が、断片的に出されるので、ストーリーが分かる迄、ちょっと時間が掛かるかも知れないが悪いシナリオではない。唯、自分が彼らのような状況に置かれたら、矢張り、同じことをしただろうな、とは思う。そのようにはのめり込ませてくれた。

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    2013/10/31 02:50

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