【千秋楽当日券ございます】値札のない戦争 公演情報 劇団印象-indian elephant-「【千秋楽当日券ございます】値札のない戦争」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    強い批評性
    現在、大きな問題になっている日本と韓国(広くみれば中国も)との国際間摩擦をメディア批評を中心テーマに置きながら描いた寓話作品。

    今の社会状況で、そしてBeSeTo演劇祭で、日本人と韓国人が一緒にこの舞台を作る意義は大きい。

    ネタバレBOX

    ただし、芝居としては、メッセージ先行という印象が否めない。

    そこにある批評性が一義的な意味に留まり、演劇的な何かが生まれている感じがしない。
    月の国と星の国との摩擦・戦争を描いているのだが、
    寓話ではあっても、もはや直喩であって、日本と韓国のことでしかありえない。竹島/独島の問題なども直球。
    寓話的な意味の広がりが感じられなかった。
    勿論、直喩の面白さはあるのだけれど。

    それでも、ここで描かれているメディア批評は素晴らしい。

    平和な状況で、ちょっとした遊び心から撮り、売るために発表した戦場を模した偽戦場写真が、実際の戦争状態への引き金になっていく。
    また、実際の竹島/独島らしき島で撮った写真も、国旗を燃やしているのか、単にタオルか布のようなものを燃やしているのか判然としないようなものを、国旗を燃やしているものと受け取れるように敢えて発表するなど、お金に繋がりさえすれば(読者・観衆を興奮させられれば)、事実なんてどうでもよく、そしてその結果がどんな影響を及ぼそうが関係なく、なんでもセンセーショナルに報じる今の日本のメディア状況をとてもよく描いている。

    また、日常にあるような出来事と政治的な問題を重ねて描く点もよかった。
    男が「女は昔のもう終わったことをいつまでもネチネチ問題にするけど、もうその話は一度謝って、片が付いているじゃないか」というような主旨の発言には、韓国と日本との賠償や謝罪の問題が重ねられていたりする。この問題も、両方の言い分を別の役者に言わせることで、どちらが正しいということではなくしている点もとてもよい。

    ミサイルの問題と、男性器を重ね、そこに男性原理の暴力性を重ねていたりもする。

    戦場カメラマンの話が中心で物語が進むのだが、
    「お金こそ目に見えないものを見えるようにするカメラだ」というような台詞もよかった。

    だが、すべてが政治状況や思想的なものに意味を変換(解釈)して味わうという感じで、演劇的な面白さをあまり感じなかった。

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    2013/10/25 22:52

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