わたし、▽、festival 公演情報 mimimal「わたし、▽、festival」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    モラトリアム?
     天ぷら銀河の「可哀想行進曲」とmimimalの「a」2本の上演だが、合わせて1時間強の短編作品だ。

    ネタバレBOX

     作家は、20歳と34歳。ネット時代の申し子である。彼らに共通すると考えられる傾向が、薄っぺらで、剥離する現実感覚とでも言えるものだろう。パソコンの画面をどんどん変えているのは、彼ら自身であるにも拘わらず、その操作が殆ど無意識で行われる為か、彼らは、ネット上での変化を受け身で、辛うじて溺れない程度に受け流しているように見える。その上で彼らは、このマークアップを認識と感じている様子なのである。そして、この薄く広がる認識層を関係の網目として捉え、そこに関わる点として自らを規定するが、これは、ヴァーチャルな電磁的世界とそこに偶々アクセスしている電脳の戯れであってみれば、所謂生きた社会との諸関係ではない。其処には、匿名性や拡散はあっても、生存の為に直接必要とされる、生々しさはない。つまり、生き物としての己が、他の生き物を殺して喰らうことによって生き延びているという荒々しい認識からは隔てられている。
     この結果、彼らは、現実に事象を判断し、自らが己の関わる世界を負い、世界に貫入しようとはしない、というポーズを取ることができる。然し、それは、本当のことか? 現に他の生き物を喰らうことでしか生きていけない、我々、ヒトと世界との根本的な繋がりは。また、ヒトの置かれた悲しい位置は。この酷い現実を酷いと感じ、己を時には、自死に迄追い込む苦悩にこそあるのではないか? このような認識が、できない。それは当然のことだろう。何故なら、彼らの論理には、生きて働く論理そのものが欠けているからである。

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    2013/08/22 13:07

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