満足度★★★★
無題794(13-223)
19:30の回(曇)。受付前に着いてしまい階段下で少し待つ...蒸し暑い。19:00受付、入り口側が客席、桟敷、マル椅子、パイプ椅子。舞台には水色模様の布(天ぷら銀河用)が吊らされています。mimimalは4作目になりますが、いつも不思議な感覚に陥ります。ストーリーよりも雰囲気を味わいに来ているようです。ケッタイな道具と動き、大きな器にみえてしまうセリフ(中に何を詰めるのかは観客任せ)、結構、じっとしている(固まっている)役者さん、今夜も健在。
天ぷら銀河は初めてで、こちらもなかなか好みでした。ゴダイゴ(1979..この映画は劇場でみました)とビートルズは世代的にかなりずれているように思うのですが、選曲の基準はどうだったのでしょう。「なぜ未来人」という問いにハッタリでも思い込みでもいいのできちんと意見が欲しかった。お客さんは懸命に考えながらみている(当たり/外れは関係なく)はずなので...
19:23開演前のトーク、5分押し、19:34開演~20:01(天ぷら銀河)~20:34(mimimal)~20:50(アフタートーク)。
すでに、私には好き嫌いを超えた時間になっているようです。
満足度★★★★★
まじっくすぺるピャー!!
純白の銃口塗装にピンクの散弾丸で、狭い空間を掌握していく。身体中に銃弾を受けてもむしろ心地よく、まばたきという反射行動すらこの時ばかりは憎らしい。一般的に浸透している滅びの呪文は「バルス」だったか。それなら私は今日から「ピャー!!」と云おう。いや、滅びじゃなくてもいい、産まれてもいい。どっちだって良くて、どちらも内包している、この呪文。なんだ、万能ではないか。生み出すことも消すことも自分のこころ一つで決められるとは........。あなおそろしや。
さて、本題に入ろう。この劇団の特徴といったらグチャグチャと粘性帯びた奇怪な美術と衣装と...ちょっと発声の悪い役者の怪演といったものが視覚的・聴覚的に”くる”ものだった。しかし、どうしたことか今回はそこらへんはさっぱりと、白い世界に白い人々、その上全台詞が聴き取れるという大幅改変版!主宰の男性の髪の毛が削ぎ落とされたと同時にこんなに舞台まで削ぎ落とされたのか。
と思いきや初っ端から全身粟立つ演技で飛ばす女性(美人)が現れこころ奪われた。最初って肝心肝心。そっからは始終ドドンパ運行状態の三十分!この止まれぬ殺気の維持はどうやっているんだ!?みんな絶叫マシーンマニアか?と疑うほどだ。
演劇って中だるむものじゃん、中年男性のお腹じゃん、という半ば諦めに近い優しい見方......なんてものはこの舞台で覆された。ピャーっとずーーっとかっ飛ばす。近所の陰気な中学生が遂に犯した殺人現場を草の茂みから見てるくらいの緊張感で目が離せない。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。
意味と無意味で世界が説明できちゃうじゃん。現れた「音楽」「時間」「無」という世界に不可欠な構成要素でもってそれを否定しながら肯定してくれちゃってこれはもう真理でしかない。真理が現れたよー!我々法律とかの秩序立てられた世界で何とか(たまに悪さもしながら)暮らせてる。でも、それって?個人が個人の法律をもって行動したら世界は崩壊でしょう?全部正解だし、全部嘘になるんだよ。「無」というキャラクターが執拗に繰り返す言葉は繰り返される度重みをもって響いてくる。
「死んじゃだめ」なんていうけど、実際は「死んでもいい」し、「盗んでもいい」。いや、悪いことだけじゃない。宗教を開いた「凡人」というキャラが最後みんなにすっごく人間くさい意味付けを始めるんだ。無秩序に秩序を与えようとする。「抱きしめるため」の腕だったりね。無駄なことと解ってるみたいに必死に意味を付加していく無意味さといったら......このシーンも秀逸だ。
現実をびしびし突きつけると同時に現実にしがみつこうとするこの劇団はいま宇宙真理に最も近いのではないだろか。
さ、自分の中のあたりまえをひとつ、「ピャー!!」と唱えながら壊してごらんなさい。(美輪明宏風に)