満足度★★★
20世紀アメリカプログラム
20世紀にアメリカで活躍した振付家による作品3本のプログラムで、物語性ではなく、ダンサーの動きや形で魅せるタイプの内容でした。
『フォー・テンペラメンツ』(振付:ジョージ・バランシン 作曲:パウル・ヒンデミット)
3部構成の「テーマ」に続いて4つの変奏が展開する音楽に振り付けられていて、素舞台にモノトーンのレオタード姿で踊り、無駄な感傷性のない即物的な雰囲気がクールで格好良かったです。
バランスやタイミングが不安定な所があり、バランシンならではの曲に幾何学的な魅力があまり十分には現れていない様に感じました。
『牧神の午後』(振付:ジェローム・ロビンス 作曲:クロード・ドビュッシー)
『ウエストサイド・ストーリー』の演出・振付で有名なロビンスによる作品で、西陽が射し込むバレエスタジオに1人佇む男性ダンサーの所へ女性ダンサーが訪れるというシチュエーションで展開し、気だるさと官能性が醸し出されていました。客席側の面を鏡に見立てた演出が面白かったです。
『スコッチ・シンフォニー』(振付:ジョージ・バランシン 作曲:フェリックス・メンデルスゾーン)
1本目と同じ振付家の作品ですが、森の美術やスコットランドの民族衣装を用い、振付も古典的なヴォキャブラリーが多用されていて、全幕バレエからの抜粋の様な趣きでした。個人的には今回の演目の中で一番魅力を感じない作風でしたが、パフォーマンスとしては一番充実していたと思います。
吉田都さんの抜群の安定感と腕の表情の豊かさが素晴らしかったです。渡辺恭子さんの少年役も可愛いらしくて印象に残りました。
オーケストラは、目立つミスは無いものの、少々集中力に欠ける演奏で残念でした。