ラジエーター 公演情報 シアターノーチラス「ラジエーター」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    変化のプロセスが観たい
    高速バスのターミナルで来るはずなのにちっとも来ないバスを待つ人々。
    想定外の遅れにイライラがつのり、次第に隠していた顔を晒すようになる。
    群像劇として個々の設定は面白いが、時間の経過とともに変化する心理が
    いまひとつ追い切れていない感じがしてちょっと残念。

    ネタバレBOX

    舞台は高速バスのターミナル。
    12人がバスを待っているのだが、バスは一向に来ない。
    謝ったり言い訳したりで忙しいバス会社のスタッフ。
    待っているのは2組の夫婦や、義理の姉妹、セールスマン、役者崩れ(?)など様々だが
    それぞれが日頃表に出さない事情を抱えている。

    蒸し熱い夜、いつまでも来ないバスを待ちながら次第に理性を失って行く12人。
    彼らはただバスが遅れていることを怒っているのではない。
    いつまでこの状態が続くのかがわからないことに対する不安といら立ちなのだ。
    この“先の見通しがたたない”、つまり“希望が見えない”ことが
    実は彼らの置かれた人生の状況と重なっている。

    子どもを産んでいいのかどうか不安な妻と
    子どもを失ってから精神に異常をきたした妻、
    よその女と事故で死んだ夫を確認に行く妻と
    その“よその女”の夫、
    騙された女と騙されそうになっている女…。

    傍観していたはずの他人のトラブルに共通点を見いだし、
    いつしか自分から関わろうとして近づいて行くその”変化”こそが、
    こういったシチュエーションもののだいご味だと思うが
    例えば皆に“バスジャック”を呼びかけ、カッターナイフを用意する少々乱暴な展開の後、
    そこまで振り切れた感情が終盤突然冷静になった、そのきっかけやプロセスが見えない。
    大声で怒鳴るシーンが多いのも少し非現実的な気がする。
    中身も告げずに18万円で「人生を180度変えるもの」を売ろうとするセールスマンと
    それを買おうかどうしようか迷う女、というのもちょっと無理があるのではないか。
    その辺の現実離れした感じが
    繊細な心の変化を置き去りにしている印象を与えるのが惜しい。

    妻に対して自分の価値観や考え方を押し付けそれを疑問に思わない夫を演じた
    誉田靖敬さんのリアルな台詞に、この男の日常が見えるようだった。
    誉田さんは5月にアンティークスの公演「これでおわりではない」でも
    台詞の後ろにキャラクターが立ち上がるような芝居で感動したが
    言葉少ない中に思いをにじませるのはもしかして素の性格かしら?

    “人を好きと嫌いに分類する”タイプの女を演じた相良康代さん、
    イラつかせる台詞が上手くてマジでイラついた(笑)
    全く違うキャラクターを演じる所も観てみたい。

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    2013/07/14 23:19

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