Over The Line 公演情報 EgofiLter「Over The Line」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    よくぞここまで
     とても大切な問題を、深い所から良く舞台化している。弱者切り捨てが大手を振ってまかり通る時代になった現在、戦中、戦後の弱者の位置、意地、連帯をその屈折を含めて描き得た視点と払ったであろう多大な努力に敬意を表する。

    ネタバレBOX

    比嘉 東児は、ちくの兄、東京大学で薬学を専攻している。戦争中、女子挺身隊として徴用され終戦後数年を経て戻らぬ妹は亡くなったと思い、彼女の大好きであった坂口 安吾の書生になることを決意し彼を訊ねる。然し、安吾は、シャブなどの乱用で病院から退院したばかりで薬無しでは自分の思うようなものが書けないと感じており、不調を嘆いていて中々会ってもくれない。だが、ちくは、安吾の同人誌仲間であった沖縄の小説家志望の青年、安里 普栄の内縁の妻だった関係で、安里からの紹介状を持参していた。安吾の担当編集者の仲立ちもあり、安吾の書生になるが、安吾の妻は、安吾の文学の優れた読者とは言えぬ凡夫、それに引き換え、洲崎の女給をしている“あげは”は、安吾自身が認める最良の読者であった。その為、体の調子がずっと悪いあげはの下によく通い、妻、三千代の嫉妬を買っている。
     安吾が、東児を初めて書生として認めた日、彼は東児をあげはのいる“大河”へ連れて行って飲ませる。無論、無頼派だからということもあろうし、酒も殆どやらない東児をからかう意味もあったであろう。この夜、東児はしたたか酔い、あげはから渡されたシャブを打って意識が飛んでしまった。その間に、かつては洲崎で一、二を争う大店であった大河に売られた娘と共に来ていた女衒を刺し、この店に匿われていた指名手配犯を調査していた刑事が、2階で起こった騒動を聞きつけて駆けつけた所、彼をも刺してしまった。女衒は、命を落とした。然し、大河の女給、鳥枝がぞっこんとなり、東児の面倒を生涯みる、と言い出すに至って、皆で東児を庇い、匿うことになった。匿っている人物は既にいた。女給仲間と番頭を殺した、として指名手配されている朱美である。
     何れにせよ、遺体は始末しなければならない。そこで、遺体を骨まで砕く解体作業が為される。刑事はまだ死んでいなかったが、逃すわけにもゆかないので、捉えたままにしてある。
    上演中故、ネタバレは此処まで、あとは、実際の舞台を観て欲しい。ハンダラ的には必見の舞台だ。

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    2013/06/29 06:14

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