マクベス 公演情報 東京二期会「マクベス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    短剣を頂戴。眠っている人も,死んでいる人も,絵のようなもの。
    マクベスは,サラリーマンかもしれない。ある日,自宅のアパートに戻ろうとする。と,近所の三美人ママから,イケメンだってほめられる。きっと,将来は,出世するわよ・・・とか,お世辞を言われる。このお追従に,のぼせあがったマクベスは,家にもどるのが待てず,その話を愛妻にメールする。妻は,そうよ。あんたは,まじめ過ぎるからだめなの,もっと汚い手でもなんでも使って,同僚を次々につぶしていけばいいのよ。そうすれば,社長だって,夢じゃないわよ。

    というような話になって,二人は,三人の魔女の預言に振り回され,人生の歯車を狂わせていくのだ。マクベスは,もともと仕事の鬼でもあったので,何人かは,会社から追い出せた。まだ,残っている連中は,逆に,組織の上層部に訴えでて巻き返しをはかろうとする。負けてなるものか,買収でなんでもやってやれ。夫婦の結束は,こうして,素晴らしく深くなるのであったが,没落の日が突然やって来るのであった。

    シェークスピア演劇では,結婚はあまり肯定的に描かれていない。これは,シェークスピア自身家庭生活に満足していなかったから,といわれる。18歳のときに,8歳ちがう姉さん女房をもち,すぐに女の子,さらに何人かの子どもを持ったとされている。しかし,その結婚生活は,ほとんど別居であったとされる。結婚後,俳優をへて,脚本を書き始め,ヘンリー六世などを書く。劇作家としては大成功するが,円満な家庭を演じることはなかったのか。

    しあわせな結婚生活を,ほとんど書かない作家が,『マクベス』という作品で,仲の良い夫婦を初めて書いた。それは,王位簒奪を計画し,連続殺人にいたる,グロテスクな物語だった。真っ赤になった血の手袋が,オペラ『マクベス』の小道具では一番印象的だったと思う。音楽も素晴らしかった。また,いつの日か。

    短剣を頂戴。眠っている人も,死んでいる人も,絵のようなもの。
    絵に描かれた悪魔を怖がるのは,子どもの目です。血を流していたら,護衛たちの顔になすりつけてやればいい。なすりつけるのよ,護衛たちに罪を。

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    2013/06/28 20:32

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