満足度★★★★
涼風
賢治が戯曲形式で、生徒たちの自習上演を前提に書いたコミックオペレット「生産体操」が幾多の改稿を経て「飢餓陣営」になったわけだが、曲想自体の素晴らしさを活かし、生演奏をクラシック畑を歩んで来た演奏家たちに任せて質を高め、多くのヴァリアントを独自に再構成して纏めた演出センスと役者陣の音感の良さに好印象を得た。
しかも、日進・日露以来戦争をし続けていた日本で、男の子は、軍人になるのが当たり前の軍律社会にあってなお、自由闊達で柔軟な精神を失わなかった、表現者・宮澤 賢治のヴィヴィッドで明澄な世界が、巧みな構成で躍動感に溢れて蘇っている。