満足度★★
コンパクトな会話劇
1時間弱のシンプルでストレートな会話劇で、生きることについてのメッセージが込められた作品でした。
入院している若い女性のところにタヌキと名乗る小汚い格好の男がやって来たことから、女性が内に秘めていた心情を表に出して浄化する物語で、姉やタヌキさんとの会話の中に入院中の女性の不安が細やかに描かれていました。
普通ならタヌキさんの正体をはっきりさせ、彼が伝えようとしていたメッセージを感動的なシーンとして見せるところですが、そうはせずに敢えて省略して観客が想像するのに任せていたのが良かったです。
しかし、そのことによってドラマとしては少々平坦に感じられ、物足りなさを感じました。またエピローグ的なシーンが勿体ぶっているように感じられました。
話の展開が唐突に感じられる数ヶ所あり、もう少し上演時間を拡大して感情の変化が滑らかに描かれると良いと思いました。