来訪者(作・演出:中津留章仁) 公演情報 TRASHMASTERS「来訪者(作・演出:中津留章仁)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    見応えのある舞台
    「狂おしき怠惰」に続いて二作目の観劇です。

    「今現在、ここにある問題」をテーマに、3時間もの長時間、途中暗転なしの2部構成、唯一の幕間的な舞台転換の時間を利用して叩きつけて来る言葉の嵐、舞台というより映画的な演出、などなど、前回観たものとよく似ていました。これが中津留さんの表現方法なのでしょう。私は好きです。
    舞台のセットも、役者も、みんな素晴らしかったです。

    表現は似ていても、テーマが違うと当然受けるものも違います。
    今回は「尖閣」がテーマでしたが、ズシンときました。
    登場人物の語る言葉が、ひとつひとつ突き刺さってきました。
    いい物を見せていただきました。

    ネタバレBOX

    正直言えば、私の考え方は磯山や船江に近いです。
    ひとのせいにするようですが北陸出身の(ってこれ関係なくないんですよ)ダンナからの影響と、以前就いていた仕事での、中国人たちとの数々の摩擦のために、今の私はあの国民に対してぶっちゃけ好感が持てません。

    中国人役の林田さん、上手でしたね。
    最初出てきたときの嫌な感じ(笑)自己主張ぶりなど、私の知っているある中国人女性を彷彿とさせました。
    この役を日本人の林田さんが演じていると思うことで、なんとか素直に観ることができました。
    他の役もですが、日本人ではなくネイティブの俳優を使えば言葉も楽だったと思うのですが、このお芝居を日本人がやっているというのが、私にとってはとても重要でした。ま、そういう人間もいるんです。
    亡命した孫が「今はアメリカ人です」と言った途端に態度を変える磯山に、客席で失笑が起きましたが、私も似たような感覚です。

    ですから、岸の言葉はかなりきれいごとに聞こえました。
    そんなこと言ってたら、日本は中国にいいようにされちゃうよ!利用されるだけされるんだよ!とか、つい思っちゃうんですよね。

    けれども、彼の言葉で、私に欠けている「想像力」『自分の人生と関係ない人間の命を思いやれるかという力』について考えされられたのも確かです。

    近未来にこのようなことが起きたら、自分はどうするかわかりません。
    が、考える機会になりました。
    そして、今までとは少し違う考え方もするかもしれません。
    「想像する」ことができるかもしれません。
    ありがとうございました。

    私の並びにいた人が、場面転換のスクリーンの時に席を立って帰って行きました。終わったと思ったのか、長い時間に耐えられなかったのか。
    そのことに気を取られて、ほんの十数秒ですが言葉が聞き取れなかった(字面も追えなかった)のが、残念でした。
    年配の方には、少し長すぎるのかもしれませんね。
    あれだけの内容なので、難しいと思いますが、2時間強くらいにしていただけるともっといいです。

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    2013/03/17 15:32

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