満足度★★★
シンプルでエネルギッシュ
オイディプス王の呪われた運命をストレートで熱い演技で描き、強烈なエネルギーが感じられました。
ほとんどのシーンが絶叫調な台詞回しだったり、メインキャラクターの台詞に反応するコロスの動きが過剰だったり、効果音・音楽の使い方が説明的だったりと個人的に好みではない表現が多かったのですが、セットや舞台機構を用いたこけ脅し的な趣向や、スター役者の客演に頼らず、何もない空間の中で劇団のメンバー達の演技だけで冗長さを感じさせずにドラマを進めていたのが魅力的でした。
ロングコートに旅行鞄を持った姿で舞台の遥か奥の暗闇からゆっくりと手前に歩いて来るプロローグ的なシーンは、とても美しかったものの、本編との関連において必要性が感じられませんでした。
その後に続く、舞台中央に胎児のようなポーズで寝そべってゆっくり動く姿が、後に自ら目を潰し、のたうち回るオイディプスの姿と重ね合わされていて印象的でした。
ボロボロの衣装で、布でくるんだ遺体(?)背負ったコロスはメインキャラクター達以上に感情を露にして演じ、感情が高まるシーンでは叫びながら全員で三味線を掻き鳴らしていたのがインパクトがありました。
稽古期間中に蜷川さんが入院したため演出補の井上尊晶さんが演出を引き継いだ旨が当日パンフに書いてありましたが、蜷川さんも客席で観ていて、体調が回復している様子だったので良かったです。