満足度★★★★
目まぐるしい2人芝居
信仰する宗教が異なる2人の少年が無邪気に遊ぶ姿を通じて北アイルランド内の不安定な情勢が浮かび上がってくる物語で、根底にはシリアスなテーマがありながらも、2人芝居で17役を演じるというアクロバティックな手法を用いることによってエンターテインメント性が高い作品となっていました。
偶然に知り合った2人が夜に映画を観に行ったり、秘密基地を作ったり、他のグループに喧嘩を売ったりとしている中、テロが起こって片方の少年の親がそれに巻き込まれてしまうことから、2人に別れが訪れるというストーリーで、子供の世界に大人の政治的事情が入り込んで来る様子が物悲しかったです。
舞台上で次々に役が替わって行き、場面によっては1人で2人の対話を演じることもあるのを声や表情だけで表現していて、それだけでも瞬時に誰を演じているのかがはっきりと分かる演技力に圧倒されました。
途中で壁に映される映画のパロディーも2人だけで演じていて、馬鹿馬鹿しさが楽しかったです。
鵜山さんが演出した作品は大きな劇場での物しか観たことがなく、個人的には演出手法がしっくりと来ないことが多かったのですが、この作品では映像や照明や音響の使い方もとても効果的で、演劇ならではの表現になっていて素晴らしかったです。