満足度★★★★★
行動の規範は、自己の感情?
何となく、そういう隠れたテーマが浮かび上がって来るような印象を受けました。
立場の異なる6人の登場人物。その一人一人に、作者がしっかりと命を吹き込んだ脚本の秀逸さに、驚嘆しました。
平さんと筧さんの一騎打ちの芝居なのかと思っていたのですが、誰もが、重要人物で、各人に、人間の本質が封じ込められていて…。
「ドレッサー」や「戦場のピアニスト」でも、驚嘆させられたのですが、この作品は、更にその上を行く傑作でした。
行定監督も、舞台処女演出作は、如何にも映画監督の演出でしたが、舞台演出家としても、腕を上げられたなあと嬉しくなりました。
平さんと筧さんももちろんですが、脇の、小林さん、鈴木さん、福田さん、小島さんの好演が光り、珠玉の人間ドラマになっています。
ただ、私は、以前、フルトウ゛ェングラーの子供を宿した女性側から描かれた舞台作品を観たことがあるので、大よその、時代背景や、人物の履歴をわかっていて、この作品も理解しやすかったのですが、歴史に疎い方には、難解な芝居かも知れないと思いました。
戦慄の走る映像もあるので、トラウマになりそうな方には、おススメできないかも。