満足度★★★★
オーソドックスな物語をエンターテイメントに仕立てた快作
理不尽な権力に立ち向かう主人公というエラく真っ当で小っ恥ずかしいほどオーソドックスなストーリーを、いのうえ歌舞伎に通ずるロックナンバー、アングラ気味のメイク・衣裳、主人公がニートなど露悪を装うことでエンターテイメントに仕立てた快作。
「オーソドックスなストーリー」ということはつまりワカり易い訳で、高い所から低い所へ水が流れるように澱みなく物語が進むのが小気味よく、伏せられていた事実が明かされた時には「やっぱり!」と観客に優越感を与える、的な(笑)。
ゆえに細かい台詞など聞き取れなくても問題はないが、歌詞部分や仮面を付けての台詞もクリアに伝われば(投影するというテもアリだな)なおよしか?
なお、不道徳な感じにかつての柿喰う客を、ロックとアングラに虚飾集団廻天百眼を連想。(どちらもずっとマイルドだけれども)
また、受付開始が5分押しなことを1階エレベーター前で知らせてくれたり、開場後は「全席自由だが満席予定なので差し支えなければ」と断った上で奥に誘導する(もちろん遅れて来る客のための席も確保している)など、スタッフワークも優秀で好感を持つ。