〈自滅する帝国〉をアングラ感たっぷりに描く
明治の浅草周辺を訪れると、こんな無秩序な世界が拡がっていたのだろう。
白化粧を塗りたくった人々が、「バーチャルアイドルという群像」に惑わされ、追いかける物語である。死生観といい、極めて日本的ながら、〈奇抜〉を貫く。むしろ、そうした目を覆い隠す作品であることに誇りを持っているようにも感じる。
大音量のスピーカーを使い、音楽フェス会場のごとく観客の耳を痛めつける。マイクを握った“兄”は、「しらざあ、いって、きかせやしょう」を連呼するが、その台詞も日本なのだ。
そういえば、〈奇抜〉を主張すればするほど、エロチシズムとは無関係だから、若さを醸す。〈帝国〉の偶像性とバーチャルアイドルの偶像性をリンクさせたのは新しい。
この劇団、サークル色を脱し、より〈奇抜〉を強化すれば、観たい!観客は増えるのではないか。そこで大切なことは、もっと巧みかつ壮大でいて、共鳴できるストーリーだ。
この、「共鳴できた方がよい」とは 何のことを指すのかというと、近未来設定にリアリズムが足りなかった序盤である。将軍らしき人物が高らかな演説をするが、〈帝国〉の権威のみに基づき近未来を語るのも限界だろう。設定から観客を引き寄せれば、もっと終末論に集中できたはず。
満足度★★★
遅くなりました。
初めて見ましたが、非常に衝撃的でした。
世界観が強くなかなかはじめは溶け込めず戸惑いましたが、
徐々に引き込まれました。
キャラクターの濃さ、非常に勉強になりました。
刺激を受けました。
次回楽しみにしています。
満足度★★★★
オーソドックスな物語をエンターテイメントに仕立てた快作
理不尽な権力に立ち向かう主人公というエラく真っ当で小っ恥ずかしいほどオーソドックスなストーリーを、いのうえ歌舞伎に通ずるロックナンバー、アングラ気味のメイク・衣裳、主人公がニートなど露悪を装うことでエンターテイメントに仕立てた快作。
「オーソドックスなストーリー」ということはつまりワカり易い訳で、高い所から低い所へ水が流れるように澱みなく物語が進むのが小気味よく、伏せられていた事実が明かされた時には「やっぱり!」と観客に優越感を与える、的な(笑)。
ゆえに細かい台詞など聞き取れなくても問題はないが、歌詞部分や仮面を付けての台詞もクリアに伝われば(投影するというテもアリだな)なおよしか?
なお、不道徳な感じにかつての柿喰う客を、ロックとアングラに虚飾集団廻天百眼を連想。(どちらもずっとマイルドだけれども)
また、受付開始が5分押しなことを1階エレベーター前で知らせてくれたり、開場後は「全席自由だが満席予定なので差し支えなければ」と断った上で奥に誘導する(もちろん遅れて来る客のための席も確保している)など、スタッフワークも優秀で好感を持つ。
黙示録の日に
地球最後の日に鑑賞しました。はい。終わってません。
虚飾と虚仮威しの一大エンターテインメント。無為と退廃に彩られたハイテンションな「何か」。
小劇場系の人はこういうの好きな人多いでしょうから、きっと有名になるでしょう。がんばってください。応援してます。