朝にならない 公演情報 チタキヨ「朝にならない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ロールの描き込みのうまさ
    三つのロールの力関係の変化が
    無理なく流れていくのは、
    その裏にキャラクターがかかえるものがしっかり描き込まれて
    いるからなのだと思う。

    女優たちの紡ぎ出す個性に惹かれて
    そのひと時に嵌ってしまいました

    ネタバレBOX

    シーン0的な冒頭の
    ちょっと常ならない女性の雰囲気がしたたか。
    広めのバースペースでの芝居の
    場の空気をすっと演劇の中に手繰りこみ、
    それは、後半を際立たせる伏線にもなっていて。

    3人の女性たちの異なる色が、
    一人の男を軸に次第に別の色に解けていく。
    そこには、互いが互いを剥ぎだしていく面白さがありつつ、
    その姿にロジックが際立つのではなく、
    役者たちが組み上げるキャラクターたちの
    想いの揺らぎが色として豊かに広がっていく。

    それぞれが抱える危うさや思い込みに、
    表層の事実からもう一味奥まで
    フォーカスが届いているのが良い。
    役者たちのロールの作りこみに足腰があって、
    思いが崩れていく姿に
    観る側にしっかりとした質感が置かれて。

    バーの雇われオーナーの自負が、
    じわっと透けてくる感じも
    タレントの目のやり場に困るような容姿に隠された
    浪花節のような人生の俯瞰も、
    婚約者を名乗る女性の
    とどめることができずにしみだしてくるような狂気も
    単に観る側の目を奪うだけではなく、
    3すくみの場の揺らぎをそれぞれの色で照らし出していく。

    表層の女性たちの風情で観る側を捉え、
    物語の展開に表れる女性たちの想いのあからさまさに
    ぐいぐいと引き込まれて。、
    でも、その顛末に、それぞれの女性たちの
    どこか行き場を失ったような今が醸し出す
    ペーソスにひたされてしまう。

    脂の乗り切った役者たちの
    心情の現われ方やその色の変わり方が実にしなやかで、
    物語の面白さに加えて
    役者を観ることの楽しさもがっつり。

    たまたま席が足元30cmをピンヒールが通過したり
    役者たちの感情や色香が
    まっすぐに伝わってくる場所であったりもして
    ドキドキわくわくものだったのですが、
    それとともに、
    女性たちそれぞれの修羅場のあとの
    ティーパーティ(?)に至った朝のけだるさにも
    しっかり浸されて・・・。

    作り手の腕と役者たちの力に
    たっぷりと満たされてしまいました

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    2012/11/29 07:32

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