地響き立てて嘘をつく 公演情報 ガレキの太鼓「地響き立てて嘘をつく」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    男には出来まい
    “バカバカしいほどの人間賛歌”とフライヤーにある通り
    何千年経っても同じことをくり返している愚かな人類を
    笑いながらも愛おしく見つめる舘そらみさんの視点が超ユニーク。
    確かに、“泣きながらでも神輿を担ぐ派”らしいエネルギー溢れる舞台だった。

    ネタバレBOX

    舞台中央に色とりどりの衣類を並べて円陣が出来ている。
    強い原色ではなく、アースカラーの穏やかな色あいだ。
    ここが、時代は移っても常に“父親”のいる場所として子どもたちが戻ってくる場所となる。
    舞台上手に2階へ上がる梯子、下手には階段状に高いスペースが作られている。

    数人の女たち(男性も演じている)が「産まれた!」と子どもを抱いて喜び合っている。
    時は縄文時代、男は狩りに行き、女・子どもは木の実を拾い水を汲むのが仕事だ。
    そして女は子どもを産むときによく死ぬ。
    「さーちゃん」と「ムサシ」は子どもの時から兄弟のように育った。
    ムサシはさーちゃんが大好きだが、さーちゃんは自由奔放でムサシは常に振り回される。
    この二人の“2000年”に及ぶ人生を追いかけるというストーリーだ。

    時代はあっという間に弥生、平安、戦国・・・と歴史の教科書通りに進む。
    舞台上で“大雑把な”衣装に着替えながら
    時代の価値観を反映したさーちゃんの恋愛騒動が繰り広げられる。
    強い男に惹かれては騙されたりして、その都度ムサシに泣きついて来る。

    平安時代のガールズトークがフツーに現代語で交わされたり
    戦国の世に、男が敵の首を取ってさーちゃんにプレゼントしたりする所で爆笑。
    さーちゃんとムサシの役は、時代が変わると役者も変わるが混乱はない。
    むしろいつの世にもいる「さーちゃん」と「ムサシ」の普遍性が感じられる。

    気になったのは、2階から解説をする先生(?)みたいな現代人。
    下で繰り広げられる世界に少しなじんでいない気がした。
    台詞台詞している感じは、次第にこなれて来るのかな。
    着替えに手間取る時代もあるが、それはまあご愛敬か。

    多少寿命が延びたくらいで、私たちはずっとこうして生きて来たんだなあと思う。
    男は小さな嘘をつき、女は大きな嘘をつく。
    でも笑って踊って、「よしとしよう!」みたいなエネルギーが一貫して明るい。

    こんなありえないほど壮大なスケールで、しかも“雰囲気だけ”の衣装で
    男と女・親子を描いて尚「変わらないもの」を明確に取り出して見せる。
    この大きさと大雑把な感じ、ちまちましなくておおらかな表現は
    まさに”大地の生命力”を感じさせる。
    同時に”命のはかなさ”をはらんでいて、そのバランスが良い。
    いやー、男にはちょっとできないだろ。
    一番の嘘つきは、やはりこの作者かもしれない。

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    2012/11/15 03:17

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