満足度★★★★
居たな
表現する者としての漫画家とそれを商品化する者としての編集者の関係を軸に展開している点が、作品を自然なものにしている。我らが生きる資本主義の世の中で、各々が各々なりに真実を求め、自己を主張し、一所懸命に考える。然し、いざ、これらの過程を抱えた労作を提示する段になると、商品化された彼らの作品は、世間の騒音と旺盛な消費行動に、恰も作品そのものが、騒音源の一つにでもなったかの用な様相を呈し始める。創造の過程にあった制作者間の対話すら置き去りにして孤独を析出してしまうのである。表現する者と、それを商品化する者との異相を対峙させることで、メインストリ―ムを構成し、そこに流れ込むように結婚や男女関係が絡んでくる。いつか自分の周りにも居た人々の物語。