女子。 公演情報 gojunko「女子。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    男性にとってNullな感覚も
    7人の女優たちが描き出すものに、
    観る側の想像のフィルターをすり抜けて
    ダイレクトにやってくるものがあって・・・。

    男性が抱きえないような感覚までが、
    すっとおとずれ、淡々と深く焼き付いていく。

    その語り口から描き出すものの
    実存感に、違和感と不思議な同化を感じつつ
    染められてしまいました。

    ネタバレBOX

    冒頭からしばらくは
    その世界の構造がわからなくて、
    ただ女優たちの会話や独白を追う。

    言葉から浮かんでくるイメージがあって
    でも、実は空気は少し違うことを語っていて、
    それがほとんど断片的な
    とてもルーズな脈絡で観る側に置かれていきます。
    刹那の空気は、女性であれば共振する部分があるのかもしれないけれど、
    男性にとってはそのパーツの欠損を感じるようなところもあって。

    だから、その空気の感触だけであれば、
    7人の女優のイメージを楽しみましたで
    終わってしまったかもしれない。

    でも、観る側に置かれた感覚は
    その触感と異なる色を観る側に浮かび上がらせていく。
    其々の物語はとても淡くて、
    一方で輪廻の気配に次第につなぎとめられて、
    気が付けば概念だけでは感じ得ない、
    子宮があることを前提としてかたられるような
    表層の表情や肌触りと異なる生々しさが
    次第に個々の役者たちから透けて、場の空気として広がり
    よしんばそれを持ちえないジェンダーまでも、
    存在しないはずものからやってくるものの色の如くに、
    染めていくのです。

    塗り絵のちょっとはみ出したような感覚、
    同性への愛情だったり、SM的なものも、
    針で深く突かれたような印象も
    滅失した大多数の日常も、
    恋慕も、嫌悪も、安定も、孤独も・・・
    いたずらにデフォルメされることなく、
    美化されることも歪曲されることもなく、
    生まれて死する周期の中で、
    目に焼付いた風景のように
    何度も浮かび上がる・・・。

    役者たちの、
    シーンごとの安定したテンションを支え続ける技量にも目を瞠りつつ、
    終演後もひとつの感覚として包んでしまうことのできないような
    その想いの質感に捉われ続けてしまいました。

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    2012/10/27 09:37

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