K.ファウスト 公演情報 まつもと市民芸術館「K.ファウスト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ネタばれ
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    ネタバレBOX

    串田和美の【Kファウスト】を観劇。

    今作は、自由劇場のメンバー笹野高史と小日向文世が出演している舞台である(吉田日出子は出演していない) 串田和美の芝居は、あの伝説の上海バンスキングは観ており、それ以外にもコクーン歌舞伎など多数観ている。そして串田和美の芝居は外れがない!という印象がある。

    錬金術師、占星術師、魔術師と呼ばれているファウストの物語。

    人よりは面白い人生を謳歌している老人ファウストは、まだまだ人生の謎を解きたいと思っている。そんなファウストがある日、メフィストフェレスと出逢い、悪魔の契約を交わす。それはファウストが若い肉体を得て、欲望を満たし、そしてこの世の謎を解き明かす事。ただし契約には24年後、メフィストフェレスにファウストの魂を譲る事。そして二人は共にその24年間を一緒過ごして行くのである。

    簡単に言ってしまえば、ファウストとメフィストフェレスのロードムービーという感じか?人生の終焉を見てしまったファウストは、新たに得た人生を以前より謳歌出来るのか?誰もが必ず感じる死への恐怖、そして自分の生きた証をこの芝居はテーマとしており、観客の皆様方の人生とは?と笹野高史の上手すぎる芝居、派手なサーカス、生演奏で観客に問いかけてくる。芝居の大部分は、新たなる人生を得たファウストの生きざまを描いているのだが、これが全くの退屈なのである。折角得た新しい人生を、観客はファウストと一緒になって客席で高揚したい気分なのだが、出来ないのである。生舞台でしか味わえないサーカス、生演奏が唯のお飾りにしかなってないのである。上海バンスキング、コクーン歌舞伎の臨場感はいずこへ?という気分だった。そんな事を思いつつ高倉健さんの気分でジッと我慢して観ていたのである。そしてこの芝居のクライマックスである悪魔の契約が終わる日に、ファウストはまたしても人生を悔いてしまうのである。今度はメフィエストフェレストと一緒に。そうメフィストフェレスはファウストの分身であり、自分自身でもあったのである。そしてその二人が空しい人生を終えようと、抱きしめ合いながら遥か彼方を見ている時に、舞台上手では、長いロープを伝ってサーカス団がスローモーションのようにゆっくりと落ちて行くのである。そして舞台下手では、長い梯子を登っては落ち、登っては落ちをスローモーションのようにサーカス団が演じているのある。なんという素晴らしい見せ方だ。まさしくこれが今作の最大の狙いであり、その視覚的効果に観客は人生とは?と考えさせてしまうのである。幾ら言葉で語った所で所詮無力で、演劇の醍醐味、視覚こそが舞台の最大の武器と言わんばかりの見せ方で舞台は終わっていくのである。そして舞台は終わった?と思った瞬間からまた驚くような芝居を笹野高史が見せてくれるのである。まさしく笹野高史ブラボーであった。

    こんな素晴らし展開の見せ方に、流石に涙せずには居られなかったが、それまでのつまらなさは一体何だったの?と言いたい処だ。それこそが狙いです!と言い切るぐらいにリスクを覚悟で平気でやってしまうのは長塚圭史ぐらいなのだが、今回に関しては、明らかに串田和美の失敗です!と観客は気がついているだろう。そうまさしく失敗なのである。

    だから今作は、お勧めではないのである。

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    2012/10/12 21:02

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