満足度★★
小林耕平鑑賞
『タ・イ・ム・マ・シ・ン』と題されたパフォーマンスで、現代美術家の小林耕平さんが山形育弘さん(core of bells)を対話相手にして、会場内に散在させたタイムマシンと称する作品群を解説して回るという内容でした。所々に興味深い点はあったものの、構成感がなくて行き当たりばったりな雰囲気が強く、観客に対しての見せ方もあまり考慮されていないように思われ、パフォーマンスとしては成立していないと思いました。
会場内にあるオブジェで何かしらの行為をしている映像が流されていて、開演時刻を過ぎて小林さんと山形さんが登場し、先程の映像に文章を重ねた映像を止めながら流し、小林さんの解説に山形さんが疑問や突っ込みのコメントを入れる形で進行しました。
「属性の貸し借り」といった哲学的な内容を、行きつ戻りつ掘り下げて行き、うっすらと分かりかけそうになったところで話題が飛び、なかなか核心に辿り着かないもどかしさに不思議な魅力がありました。
パフォーマンス研究者の伊藤亜紗さんが書いた文章にインスパイアされて作品を作り、それを解説しながら自らも思考を深めるという作品全体の枠組みが知的好奇心をそそるものでした。
退館時間になって尻切れとんぼで終わってしまい、内容的にはかなり消化不良を起こしましたが、じっくりと考える時間が新鮮に感じられました。トーク慣れしていなさそうな小林さんの話に山形さんが鋭くかつユーモラスに反応していたのが楽しかったです。