満足度★
手塚夏子鑑賞
2時間半以上の間、踊ることも芝居をしたりすることもなく、パフォーマンスというよりはセミナーの形式に近く、『ただの「実験」がメディアになるのか?の実験』というタイトル通りの内容でした。
会社員の田仲桂さんと、反原発デモを企画している井出実さんによる「実験」を手塚夏子さんの司会で進める形式でした。
田仲さんが観客に記憶から削除したいことを書かせ柱に貼らせた後に、田仲さんは今日の新聞を取り出し、記事の中の原発関連の言葉を黒く塗り潰し、自身が福島のいわき在住であることを明かしました。
井出さんは手塚さんの息子さんを王様として観客参加のごっこ遊びの様な展開で、意図が分かりませんでした。自分は司会に徹すると言っていた井出さんが王様に対して誘導尋問的に話を進めていたのがいやらしく感じました。
休憩時間を挟んで、再び田仲さんの実験で、祈りについて考えるというもので、会場にある大きな木製の箱を観客を交えて叩いて祈ることを実践しました。
田仲さんが反原発デモへの違和感を述べたところで井出さんの番になり、デモの終わりに行っている、輪になって太鼓を叩くパフォーマンスを実演しました。それに拒否感を持つ人は行動で示して欲しいとのコメントが手塚さんからありました。
最後は手塚さんがステンレスのボウルを打ち鳴らしながら無の境地に辿り着こうとする実験でした。
手塚さん自身は枠の外から実験の反応を観察するという作品の形式自体には興味を持ちましたが、内容的には「実験」にすらなっていなくて退屈でした。センシティヴな思想的・政治的テーマの扱い方がナイーブ過ぎるように感じました。福島在住の方のメディアを通していない意見が聞けたのが良かったです。