進化とみなしていいでしょう 公演情報 クロムモリブデン「進化とみなしていいでしょう」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    うんうん、進化とみなすしかないかもね
    クロムモリブデン、「不躾なQ友」から、欠かさず拝見していますが、とにかく、いつも感心するのは、作演の青木さんの頭脳明晰さ!

    ジャンル分けすれば、不条理劇的なのかもしれないけれど、全く意味不明な部分はなく、何度も観てて頷く箇所が満載。だけど、私の平凡な頭では、これをうまく解説したり、論評したりは難しい…。

    何だか、曰く言い難い興奮と、同感をない交ぜにした、感情が湧きあがり、見せられている世界は、とんでもないのに、舞台に懐かしい同胞感を抱いて、ニコニコしつつ、席を立つ。クロムを観ると、常に同じ反応をしてしまいます。

    作演の青木さんの超人ぶりもさることながら、この演出に応えられる役者陣の表現力がまた凄い。たぶん、私は、もうこの劇団の中毒患者なのかも。

    まだ、この毒を知らない家族に、過去の公演のDVDを買って行きたくなりましたが、冷静な親心が、自制して、諦めて帰って来ました。
    本当は、家族にも、クロム中毒になってほしかったけど…。

    ネタバレBOX

    いつもそうだけど、最初の内は、関係性も、描かれている世界も、半分、意味不明で、今回の作品は、それ程でないかもと思うのですが、あれよあれよと言う間に、この世界の住人になれてしまうのが凄いなと、青木さんの才にただただ圧倒されてしまいます。

    今回も、奥田ワレタさんの魅力炸裂!もちろん、彼女だけでなく、それぞれのキャスティングが絶妙で、人物が登場する度、掛け声掛けたくなりました。

    偽村上先生の、「作家は人は殺さない。あ、でも、殺してる作家もいる」という意味の台詞に、やけに心が反応してしまった私。

    あの笑気ガス、最高!!まさにエンタメ性炸裂しまくり。爽快感!!
    みゆきさんが、客席に向けて発砲した時、吸いたくなってしまいました。
    目に見える輪っかの煙煙が妙に可愛く感じました。

    自首した、逃亡カップルの、「世の中変わった」の台詞が、何故か、胸に響いて切なくなったり…。あのカップルが、私には、一番まともな人間に見えました。

    草壁さんが、犯人を、独自の判断で射撃してしまうところは、痛快でさえあって、あーこういう刑事がいれば、グリコ森永の犯人も捕まって、今の時代もずいぶん、住み易くなっていたかもなんて、変な妄想までしてしまったり、私自身も、舞台を楽しみつつ、頭の中で、自分の物語を考えてしまいました。

    そうそう、昔と違って、今の人って、他人を騙すのがうまくなったのね。それは、ある意味進化なのかも。騙されてるって知らずに一生を終える人がすごく多い気がする。反面、自分を騙すのは、苦手な人が増えてるかも。

    杉並症候群とか、世田谷症候群とか、荒川症候群とか、実在しない病名が、まことしやかに語られるけれど、実際世間に流通してる病名と大差なくて、どこまでがリアルで、どこからが虚構なのか、判別できない。そういう舞台的表現自体が、今の世の中を見事に活写していて、恐れ入るばかりです。

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    2012/08/09 21:29

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