満足度★★★
朗読劇としてはどうなのか。
沖縄、高江。米軍のヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)建設やオスプレイ配備と、それに反対する住民たちの座り込み運動。
それらを現地で取材した作家が描く、ドキュメンタリー的な朗読劇。
これだけの人数が、これだけの規模で、
「非戦を選ぶ演劇人の会」
として集まり、一つの作品を作り、収益を募金に充てる。
その行為自体は非常に気高い精神で、心を打たれる。
オスプレイの巨大さを、全労済ホールに例えて説明するとこなんかは非常に実感が湧いた。
オスプレイ、デカい。
そして、沖縄で起きている事への私たちの無関心ぶりに警鐘を鳴らす効果も十分にあったように思う。
が、朗読劇としてはいったいどうなのよ、というのが正直な所。
結構な人数の俳優陣が出演しているが、読みが薄っぺらく感じてしまう人がわりと多い。
大事なとこで噛んだり、タイミングがずれたり。
全員が本を持っているのだが、
台詞をなんとなく覚えているものの、台本見ずに台詞を発したらちょっと覚束ない…なんて場面もちらほらあり。
はたして十分な稽古は行われたのだろうか、と。
実際に起こっている、こういった問題を扱うにしては、覚悟のレベルが低いように思えた。
台本にしても、良く言えばドキュメンタリー的、悪く言えば学生のレポート的な印象があり、
どうにもしっくりこない。
これならNHKのドキュメンタリーを見たい、というのが正直な所。
せっかく素晴らしい企画なのだから、作品ももっとクオリティが上がればいいのに、と。
問題に我々が目を向けるきっかけにはなっているのだが…。
出演者の中では、寺田路恵さんの朗読が、心底響いてくるものであった。