満足度★★★
バラエティー豊かな6団体
一人芝居からダンスや実験的作品まで、色々なタイプの6団体が出演していて、ショーケースとして充実した公演でした。
月刊「根本宗子」『工藤、笑って!』
高校を舞台にしたラブコメ物で、それぞれのキャラクターが立った演技が楽しかったのですが、物語としてはあまり魅力を感じませんでした。15分間と限られた時間の中で、暗転して字幕で日時の経過を示すのを多用していたのが、安易で残念に感じられました。
宗教劇団ピャー!!『lovvvvvvvv∞vvvvvvvve』
本当の親子や多くのカップルが出演して、愛や生命の繋がりをトラウマと共に描いた実験的な作品でした。ドキュメンタリー的な作風に新たな可能性が感じられましたが、やりたいことに対して見せ方の技術が付いて行ってない印象があり、もったいなく思いました。
Mrs.fictions『お父さんは若年性健忘症』
病気の話ですが殊更に悲劇性を強調せずに温かなユーモアがありました。ポジティブに夫の病気に対応する妻の振る舞いがとても素敵で、終盤の台詞が良かったです。この企画の主催者だけあって、15分(+カーテンコール)の時間の使い方が素晴らしかったです。
MCR『散々無理して女だった、女だったのに』
ゾンビに咬まれてゾンビ化しつつある女性と、困惑する男性2人のシニカルでコミカルなやりとりを描いた作品でした。小椋あずきさんの怪演が楽しかったです。台詞の面白さに比べてオチが弱く感じました。
あやめ十八番『八坂七月 諏訪さん九月』
義兄の弔辞を読むという体裁の一人芝居で、しっとりとした文学的雰囲気が漂い、「芸」と呼んで良いような演技に引き込まれる作品でした。
手拭いと照明だけで色々な物やシーンを表現していたのが見事でした。
梅棒『キック・オフ!!』
高校サッカー部の青春をJ-POPに乗せたジャズダンスで描いた作品で、物語もダンスのスタイルも個人的には好みではないものでしたが、構成力もダンスのテクニックもレベルが高く、楽しめました。女子マネージャー役を演じた野田裕貴さんがとてもチャーミングでした。
「おわりの会」と称したアフタートークでは佃典彦さん、坂手洋二さん、流山児祥さんと豪華なゲストが登場したのですが、「劇王」の宣伝に終始して作品についての感想を聞けなかったのが残念でした。
笑い要素が多いエンターテインメント的な団体をセレクトする傾向にあるみたいですが、アート寄りのパフォーマンスやダンスも毎回セレクトした方が幅が出て良いと思いました。