満足度★★
『映画と身体』鑑賞
高嶋晋一さんとイェレナ・グラズマンさんによるレクチャーの体裁を取ったパフォーマンスと、東野祥子さんのソロダンスの2部構成で、難解で表現したいことが分かりませんでしたが、かといって退屈することはなく、集中力を切らさずに観ることが出来る作品でした。
前半は1つの壁側に向けられた客席と壁の間のわずかなスペースで、スクリーンに画像を表示しながら高嶋さんが主体や情報といった言語哲学的なトピックを日本語で語り、グラズマンさんはエイゼンシュタインのモンタージュ技法やカメラのフレーミング等の映画にまつわる話題を英語で語り、途中では高嶋さんが入り口のドアを何十回も出入りするシークエンスが続き、終盤はそれまで落ち着いて語っていたグラズマンさんが目隠しをして客席に乱入し絡みながら観客に質問をして回る構成でした。
ただでさえ英語はあまり分からないのに2人が同時に別々のことを話すので、興味深そうな内容だったのが理解出来ず、残念でした。
後半は客席を反対向きにレイアウトし直して、客席の背後のスクリーンに映画『ツィゴイネルワイゼン』や『どですかでん』の数分間の抜粋が流されるのを東野さんは直接見て、観客は正面の鏡に写った映像を見て、再度同じ部分が音声だけ流れるのに合わせて東野さんが踊るというシークエンスが4回繰り返される構成でした。
見る/見られるの関係性や記憶といったテーマを扱っているのだと感じましたが、それをそのまま見せているだけでアーティスティックな表現には達していないように思いました。
東野さんのエッジの効いたダンスは見応えがありました。