満足度★★★
意外とアングラ的
村上春樹さんの小説を海外の人が戯曲化したものを翻訳して上演するという少々変わった経緯による公演で、休憩込みで3時間40分程と長い作品でしたが退屈さを感じさせない魅力がありました。
15才の少年と老人がそれぞれの意図を持って高松へ行く物語にオイディプスの物語が重ね合わせられ、さらに哲学書からの引用が絡み、不思議な浮遊感と美しさがありました。原作の小説を読んでないので、元々なのか脚色によってなのかは分かりませんが、端折っているところと引き延ばしているところのバランスが悪く感じられました。
様々なシーンのセットがそれぞれ巨大なアクリルのボックスに納められていて、黒衣がそれらがの配置を変えて行き、次々に変わるシーンをスムーズに展開していたのが見事でした。作品のキーワードとなる「迷宮」がボックスの配置によって視覚化されていたのも良かったです。
美術はスタイリッシュでしたが、エログロ表現や猥雑さ、水の演出が盛り込まれていて、いかにも蜷川さん的な世界が立ち上がっていました。
言葉を話す猫や犬をリアルな着ぐるみを着て表現していたのが浮いて見えました。抽象化や見立て等、舞台ならではの手法を使って表現して欲しかったです。