六男坊の嫁 公演情報 ふくふくや「六男坊の嫁」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    心のおひねり
    大衆演劇の匂いがぷんぷんして、カッコよくて、涙と笑いが交互にくる。
    芝居小屋の、客の首根っこをつかんでブンブン振りまわしてくれる、あの感じ。
    お客が上品だから黙って観てたけど、あたしゃほんとは声かけたかった。 

    ネタバレBOX

    なんで長男が跡目を継がないのか。
    末っ子が連れて来た怪し過ぎる婚約者の正体は?
    身内しか知らないはずの情報が漏れたのは何故だ?
    次々に起こる事件と一家の歴史が交差して広い和室を狭くする。

    一竜組の6人の子どもたちが個性豊かで素晴らしい。
    稼業を嫌う気持ち、誇らしく思う気持ち、母を守れなかった自分を責める気持ち、
    そして誰かを守るためにみんな暑苦しく生きている。

    末っ子が連れて来た婚約者と言うのがまた目を見張る上玉だ(笑)
    “暑苦しい”キャラが“暑苦しい”台詞で押しまくる。
    この辺りの徹底したエンタメ精神があるから、
    中盤から少しずつ語り出す子どもたちそれぞれの本心がすごく効いて来る。
    四男薫(塚原大助)がしみじみと兄を思うところでほんと泣けてしまった。

    何と言っても生業としてのヤクザのたたずまいが素晴らしい。
    長ドスを振りまわす場面こそ出てこないが、着流しの美しさといい
    帯の位置(マニアック?)といい、東映に負けていない。
    複雑な立場の釧道を演じる浜谷康幸さんが超かっこよい。
    台詞回し、身のこなし、眼光、そしてラストの仁義の場面まで一部の隙もなくヤクザだ。

    ふくふくやの全ての作品を書き、座長である山野海さんの
    心意気みたいなものがビシバシ伝わって来て爽快感がある。
    あの仁義、こんなに強い「女が切る仁義を」私は初めて観たと思う。
    あふれるような思いが紅絹の色に映えて、マジで泣けてしまった。
    暑苦しくて、笑って泣いて爽快感・・・これはもう「サウナ」じゃないか。

    今時ヤクザだし、暑苦しいし、好みもあるだろう。
    でもふくふくやは芝居の原点を感じさせる。
    おしゃれで賢くてスマートな表現の対極にあって
    私たちの腹の底に手を突っ込むような強さを持っている。

    あの高笑いが耳について離れない。
    「これぞ熱い舞台」をほんとにありがとう。
    ふくふくやの皆さん、私の心のおひねり、受け取っておくんなせえやし!

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    2012/05/12 16:22

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